第2話

「おいおい、さっきから黙って聞いてりゃ…才??そんな大層なもんは持ち合わせてねえよ!」

サンは我慢の限界だった。

「黙っては聞いてないだろ、思いっきり殴られたぞ」

「殴れてはねえんだよ。止められたから!言わせんな!!そしてそんな事ボケてくんな、こっちは殺されるのか生かされるのか感情が忙しいんだよ!!」

なんだ…?こいつら悪いやつらじゃねえのか…?

やっぱりだな。

「名は。」

「サン。男。多分16。」

「多分か。親は居ねえのか。」

「居ねえな。ここの連中がお前は16年前から居るって聞いた。興味がねえからそれ以外は知らん。」

「興味がない、ねえ。」

男たちが目配せをしている。

なんだよ。殺すのか?……黙ってやられる俺じゃねえのよっ…。

サンは隙を探り、逃げ出すその時を静かに待っていた。

「よし、連れていこう」

「!?」

「賛成だ〜。仲良くしようぜ坊主」

「待て待て。」

あまりの急展開にサンは慌てて、手足をバタバタさせる。

「俺はギル。そしてさっきからふざけた口調のシンバ。一言も喋らないのが、キーマンだ。」

銀色の髪の男が話を進める。

「キーマン…フッ。っておい。さっきから話を勝手に進めんなよ。」

独特なネーミングセンスについ笑ってしまう。

「いい名前だろ。俺が付けたんだ。なんせキーマンは名乗らねえからな。こいつはこの班のキーマン。よって名前もキーマンだ。」

なーに鼻高々に言ってんだよ。警戒してるこっちが馬鹿みてえだ。

「とりあえず、俺たちに着いてこい。」

「悪いようにはしねぇ〜よっ!…多分な?」

飄々としたシンバにサンは弄ばれる。

「多分かよっっ!!まぁ、いい。信用する。」

「お、ナイスボーイだな、サン坊!」

「サン坊??辞めてくれ。俺は昔から勘は当たるほうだ。」

「ほぅ…信用出来るか。だいぶ懐かれたもんだな。」

落ち着いた雰囲気のこの男は黒髪の長髪を後ろで結ている。

「キーマン…だっけか?お前声、意外と高いな。」

「おい!それには触れるなよ〜」

シンバは慌てて、キーマンの様子を伺う。

「気にするな。ただ俺がお前のことが苦手な事が分かっただけでも、人生においての収穫だ。」

(なるほど…つまり俺は嫌われたんだな。)

「とにかく、本部へ行きながら詳しく説明しよう。俺たちが何者かについて。」

ギルは何かを覚悟したように告げた。

「何者かについて。ねぇ。大袈裟な奴だな。」

はぁ…もう追いつかねえよ。

誰かとこんなに話すの久々で疲れたな。


その言葉と裏腹にこれからの出来事にサンの胸が高なっていた。

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