昔話に関する幾つかの考察
1.ここ掘れワンワン
ある日、庭の一部を指して猫が必死に鳴いているのを見つけた老人は「ここ掘れワンワンだ、これここ掘れワンワン現象だ」と歓喜しました。
老人は嬉々としてスコップを持って猫の居るところを掘り進めました。
その間も猫は忙しなく鳴くので「うるせぇ」と追い払いました。
老人は掘り進めました。
コツン、と何かに当たった時「しめたッ!」と思った時、凄まじい爆発が吹き荒れました。
老人は地中に埋まった不発弾に刺激を与えたことにより、起爆させてしまったのです、
猫は遠くの家の屋根の上「馬鹿だなぁ、だからあんなにここが危険だって知らせてたのに全く」とため息をつきながら、大きな雲が立ち込めるその光景を眺めていました。
そしてこうも言いました。
「そもそも私は猫だし」
老人は死にました。
2.竹取物語
竹取をする老人が光っている竹を見つけました。
切りました。
かぐや姫は死にました。
3.桃太郎
洗濯をしていたお婆さんが川から流れて来た大きな桃を持ち帰り、お爺さんに縦に切ってもらいました。
桃太郎は死にました。
4.浦島太郎
青年が散歩をしていると、浜辺で子供達に虐められている亀を見つけました。
青年は「ウラシマチャンスじゃん」と思いましたが、あの話が勝手にお礼と称して拉致され、もてなされた挙句、何故か老人にされると言う到底理解し難い結末だったのを思い出し「いや、あれなら有り難くないな」と、その現場を見て見ぬ振りで通り過ぎましたとさ。
亀は死にました。
5.カチカチ山
ある日、お爺さんとお婆さんの畑仕事の邪魔ばかりする悪戯好きのたぬきをとうとう捕獲に成功しました。
お婆さんに見張りは任せてお爺さんが仕事に出た隙にたぬきは逃げ出し、お婆さんを鍋に煮詰めてばば汁にしてしまいました。
お婆さんは死にました。
それを騙されて飲んだお爺さんも食中毒で倒れて死にました。
倒れた拍子に鍋の為に燃やしていた火を蹴っ飛ばしてしまいあたり一面は焼け野原になりました。
たぬきは死にました。
ついでに近所のうさぎも巻き添えになり死にました。
6.わらしべ長者
ある若者は観音様に「お金持ちにしてください」とお願いすると「次一番最初に見たものを大切にしなさい」とお告げを頂きました。
若者の最初に目についたのはわらしべでした。
若者は「これな訳が無いだろう、畜生」とわらしべを燃やしました。
その煙を吸って若者はハイになりました。
それはわらしべでは無く乾燥した脱法ハーブでした。
若者はそれを元手に売り捌き、薬の密売人となり、かなりの富を得ました。
ある日、若者のマンションに暴力団が何人も扉をこじ開けて入ってきました。
「てめぇ、どこの組のモンじゃい。ここが誰のシマか分かってこんな事してんのか?あぁん?」
白いスーツの男に若者は拳銃を向けられます。
「死に晒せや。あぁん?」
パンパパンパン!!
何発もの銃声が響きます。
銃弾の雨を避け、掻い潜り、アクロバティックに動き、若者は何とか部屋を脱出しました。
無駄に高い階に住んでいたのでエレベーターが来る気配はありませんでした。
若者は階段を駆け下ります。
「あっっっ!」
なんと、途中で足を踏み外し階段を転げ落ちてしまいました。
ドガン!!!と音を立てて若者は膝を打ちました。
打撲でした。
何とかマンションから脱出した若者は目の前に通りかかろうとするタクシーに手を挙げました。
とにかくこれで遠くまで逃げようと思いました。
が、勢い余って若者は道路へ飛び出してしまいました。
若者は死にました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます