第2話 唯一の正解(ラグ・コード)
数十分後
隠れ家の地下室で漣は雨宮と名乗る刺客から受けた傷の処置をし、エイジャスを再起動した
聞こえてくるノイズの向こうから聞き慣れた、しかしどこか遠い記憶の中よりも疲れ切った父の声が響く
『……聞こえるか、漣。このログが再生されているということは、お前はあの日私が遺したガラクタを起動させるほど追い詰められたということだろうな。……すまない、不甲斐ない父親で』
漣はその声を逃すまいと息を止める
それと同時に父の吐息が混じる
『漣、真実は七つの『
一瞬、父の声が震えた
それは「大罪人」と呼ばれた男の隠しきれない親心か
『漣、探しにいくかはお前に任せる。……だが、これだけは忘れないでくれ。俺はお前を愛している。』
そして、確かな力強い声で父は告げた
『お前こそが、この絶望の中で私が遺した...唯一の
「…………っ」
そこで音声は途切れた
そこは空が剥がれ落ち、大地が情報の濁流となって渦巻く「世界のバグ」そのもの
その多くは謎に包まれており、未だ解明されていない
まさに『絶対死の領域』
「勝手なことばっかり言いやがって」
父、九条 弦が狂人か、世界が狂っているか。その答えは地獄の底にある
「でも...!これだけは...この気持ちだけは嘘じゃない」
漣はエイジャスを手に取り、立ち上がった
画面には「第一の棄界」の座標が、鮮血のような赤色で点滅している
「父さんが何をしたのか。このバグの正体が何なのか。……全部、俺が暴き出してやる」
地下室の重い扉を開け、漣は再び雨の降る外の世界へと足を踏み出した
「待ってろよ、父さん。必ずその汚名を拭ってやるから」
世界を壊した張本人の息子として石を投げられ、泥を啜り、下を向いて生きてきた
そんな日常は一歩外に出れば昨日と何ら変わりなくそこにある
だが、カバンの中で静かに脈動する『エイジャス』の重みだけが、今までとは違う
漣はふと立ち止まり、雨に煙る夜の摩天楼を見上げた
街の遥か向こう、空が裂け、虹色のノイズが常時明滅している境界線――『
そこへ行けば、すべてがわかる
冷たい雨粒が頬を伝い、首筋の古傷を冷やしていく
漣は濡れた前髪を無造作に上げ、小さく吐息をこぼした
「……まずは、足場固めからだ」
父を嵌めたのは、政府か、それとも...
この街の「嘘」がどこに隠されているのか、それを知る必要がある
漣は雨の音に足音を紛れ込ませ、闇の深い路地へと消えていった
降りしきる雨は、少年の決意を祝福することもなく、ただ静かに街の汚れを洗い流し続けている
路地の隅に置き去りにされた、一台の壊れた解析機
その死んだはずの画面が一瞬だけ青白く瞬き
消えた。
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最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
ついに目覚めた父の遺産、そして唯一の正解『ラグ・コード』。
蔑まれてきた不遇能力が、世界の
大晦日という特別な日に、この物語を見つけてくれたあなたへ。
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