第6話 初日の出、神上がり。

百鬼夜行が動き出す頃、

善之は神上がりしなかった。


理由?

簡単だ。


彼は宴を共有した。


主になる者は、与える側に立つ。

だが彼は、最後まで「一緒に食った」。


だから山は、彼を残した。


百鬼夜行は摩耶山へ登り、

初日の出と共にほどけた。


多くは上がった。

役目を終えた妖怪は、神として散った。


五人だけが残った。

善之、猫又の前田直子、小雪、珠藻の前、女王蜘蛛

残ったというより、選ばれなかった。


それでいい。


世界には、主よりも

物語を持ち帰る者が必要だ。


私は702で、それを見届けただけだ。


語る?

ああ、語るさ。


語られなかった怪異は、

必ず別の形で溢れる。


それが洗面鬼の仕事で、

私の商売だ。


さて――

次はどの夜の話をしようか。


煙は、まだ残っている。

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