第5話 追放に希望
(今度の試験結果の入れ替えは不可能だった。言い逃れはできないと思ったのか、単純に私を陥れるためかわからないけど、こんな手段をとるなんて……)
「なんてバカなことを……そもそもどうやって試験結果を入れ替えろというのだ……今回は厳重な監視があったから少し調べれば無理だと分かるのに……!」
シシラは嫌な予感がしていたが、アビスの本来の試験結果がひどいことがバレないために手の込んだ事を仕組んだだけだと分かって呆れ果てた。ただ、シュバリアは怒りに震えていた。何しろ、今もアビスがシシラのことを悪く言い続けるのだから。
「なんという茶番を……!」
「シュバリア様、何も言わないで」
「しかし!」
「アビスや殿下に何を言ってもいけません。もう面倒なので」
シシラは冷静だった。今更何を言われても動じることがないというのもあるが、この先の展開をうまく利用できるかもしれないと思ったのだ。
(もしも、ユーム殿下か学園長が私にあの言葉を告げるようなら……うまくいけるかもしれない……)
アビスの隣には王太子ユームと学園長ガニバケがいる。二人共高い立場の人間だ。その言葉の影響力は重い。誰か一人の将来を決定づけるほどに。
「私はお姉様に屈したのです。申し訳ありません!」
「いや、アビス嬢が謝ることではない。全ては無能なシシラ・アリゲイタの暴挙が悪いのだ。私は学園長という立場を持って、ここでシシラ・アリゲイタ公爵令嬢の退学を宣言する」
「姉でありながら聖女の妹アビスを虐げて試験結果を捻じ曲げるという罪は重い! シシラ・アリゲイタ、今日この時をもって貴様との婚約を破棄する! それと同じく国外追放を命じる! そして私はアビスと婚約を結ぶ! 聖女こそ私の婚約者にふさわしい!」
シシラの申し開きを聞くこともなく、学園長とユームはシシラを睨みながら宣言した。
(『追放』! やっと言ってくれたわ!)
王族からの追放宣言。それはシシラが望んでやまない言葉だった。学園はおろか国からも追放されるということは、シシラを縛るものがなくなるということだ。つまり、学園と公爵家で惨めな思いをしながら暮らさないで自由になれる。シシラが望んでいた状況そのものなのだ。
――ただし、そんなシシラの思惑を誰も知らない。彼女のことを誰よりも気に掛けるこの男も。
「お待ち下さい! 納得できません!」
「ッ!?」
シシラが喜びが顔に出そうになった直前、隣からシュバリアが抗議の声を上げた。そんな彼を学園長もユームも不愉快だと言わんばかりに睨む。
「学園を退学のうえに国外追放など間違っている! こんな判断は早計すぎる! 取り消してくれ!」
シシラが驚いて振り返ると、必死そうな顔でシュバリアが聖女と王太子のもとに向かっていってしまった。そんな彼の行動にシシラは驚くほかなかった。
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婚約者を寝取られた姉が真の聖女だった!? ~祖国の人たちが戻ってきてと言ってももう遅い!~ mimiaizu @mimiaizu
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