第4話 茶番の始まり

シシラとシュバリアがゆっくり雑談しながら教室に戻った時には午前の授業は終わっていた。そして、終わりの鐘が鳴った。その直後、滅多に使われないはずの園内放送が流れ始める。



『私、王太子ユーム・ジュンメウキから緊急の知らせがある! 全校生徒は体育館に集まれ!』



よほどの事態にならない限り使われない放送を使っているのは、シシラの婚約者でもある王太子ユーム・ジュンメウキだった。園内放送を怒鳴りつけるような声で使う婚約者にシシラは嫌な予感がした。



「はぁ……」


「ああ、あの王太子か……」



ため息を吐くシシラのことをシュバリアは気の毒に思った。王太子ユームは以前にも似たようなことがあって、しかもろくなことではなかったのだ。王子ともあろうものがシシラを陥れるために学園の放送を使って逆に恥をかいたということがあった。


だからこそ、シシラは気が重い。放送の怒鳴るような様子からシシラに対して侮辱的なことだと思ったからだ。



「シシラ……」


「私は行きます……なんとなく理由は分かりますから」


「そうか、ならば俺も一緒に行こう……」



前科があったため、今回もくだらないことだとシシラもシュバリアも思った。一部の生徒たちも似たようなことを思っているようで、学園は生徒も教師も騒がしくなった。





シシラとシュバリアが学園の全生徒達と同様に体育館で待っていると、壇上に金髪と深紅の瞳を宿す美男子が現れた。王太子ユーム・ジュンメウキだ。



「諸君! 集まってくれただろうか! 今回我らの学園である不正が発覚した。あってはならないことだ。そこで、このような場を設けさせてもらった」



体育館で動揺が広がる。借りにも王太子の言うことだと影響力は大きい。良くも悪くも……というより、ユーム・ジュンメウキの場合では悪い影響しか起こらないとシシラもシュバリアも思っていた。



「その不正を暴くために彼女にここに来てもらった。さあ、聖女アビス・アリゲイタ公爵令嬢。今ここで真実を語ってくれ」



一人の少女がユームに導かれて壇上に立った。その少女は、青紫色の髪で大きくクリクリとした碧眼の瞳をパチパチとさせた可愛らしい顔、触れたら壊れそうなガラス細工のような繊細さと小動物のような庇護欲を感じさせる印象を持っていた。彼女こそ、アビス・アリゲイタ。シシラの義妹にして聖女だった。


シシラは、涙を浮かべるアビスが王太子にエスコートされて壇上に立つ姿を見つめる。無表情で。



「皆さん、今回の試験のことですが、私アビスと姉シシラの試験結果がいつもと逆になっていました。その原因は姉による試験結果の入れ替えによるものなのです」



涙ながらにアビスが訴えるのは、シシラが聖女の立場にいるアビスを妬み虐げ、今回試験結果を入れ替えるという暴挙に出たというのだ。つまり、全くのデタラメを学園中の生徒に伝えようとしたわけだ。

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