第2話立つ理由
次の日も、私は負けた。
昨日より少し長く剣を振れた。
昨日より一歩、前に出られた。
それでも、結果は同じだった。
砂に膝をつき、
息を荒くする私を、相手は見下ろす。
「もうやめたらどうだ」
誰かが言った。
観客席の端から、
冷たい声が飛んでくる。
「才能ないだろ」
「時間の無駄だ」
全部、聞き慣れた言葉だった。
私は答えない。
反論するほど、
強くも賢くもない。
代わりに、
剣を握り直す。
指の皮は、もう厚くなっていた。
血が出ても、感覚が途切れない。
立つ。
それだけで、
足は言うことを聞かなくなる。
それでも、
剣を下ろさなかった。
勝つ理由は、ない。
名誉も、
期待も、
未来も、
ここにはなかった。
ただ、
倒れたまま終わるのが、
どうしても嫌だった。
最後の一撃で、
私はまた地面に叩きつけられた。
試合は終わり。
それでも、
私は自分の足で立って、
場を去った。
背中に、
いくつもの視線を感じながら。
——負けるたび、
私は前に出る。
それが、
今の私の、
唯一の戦い方だった。
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