第5話 今度こそ
『てめえ、正気か!?』
声にならない魂の叫びが放たれた。
プレイヤーへの怒り。自分への怒り。この世界への怒り。そして、エミリへの想い。やるせなさ。戦いへの責任感。全てが入り交じった俺は、どんな顔をしていただろう。ただ、とても人に見せられるようなものでなかった事だけは確かだ。破裂寸前の俺の感情。その勢いのままに敵の大将までの道を切り開く。そして、プリン王子がやった。やってしまった。かつて足手まといと蔑んだ男。婚約者の純潔を俺に奪われた哀れな男。男は、この時のために牙を研ぎ続けていた。
全てが、終わった――これが、因果応報というものか。
緊張の糸が切れ、薄れゆく意識の中、俺の心はただ、虚しさだけに包まれた。
それがこの日の、最後の記憶だった。
――――――
あれからおよそ、3年が過ぎた。
戦いの
メイダ王女の純潔について、どのような弁明があったのかは分からない。
恐らくは騎乗中の衝撃、そのようなところに落ち着いたのではないかと思う。収まるところに収まった。それならこれ以上の詮索は野暮というものだ。
クリンとロリィ。二人、旅立った。
相棒ガイとエルスも結ばれた。
緑のラクンと天使のルチア。仲睦まじく暮らしている様だ。
俺は、ビティから誘いを受けた。だが、断った。好意を寄せてくれた彼女には申し訳なかったが、俺にはとても、一人抜け駆けして幸せになる、そんな未来は許されない。それが
ああ、エミリ。いつでも陰で支えてくれた。彼女はもう、傍にいない。だが、あれから時間が経ち過ぎた。思い出したい。あの日々を。切望しても薄れゆく、その記憶。これもまた、一つの救済――――――
絶望を受け入れた、その瞬間。懐かしい感覚が俺の意識を包み込む。そして、彼女の姿が、見えた。
おれは固く心に誓う。
今度こそ。
SRPGのエース傭兵に転生した件~またリセットか、このヘタクソめ!~ ジャパンプリン @japan_pudding
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