第3話 ハーレム王に、俺はなる!
あれから何度リセットを繰り返しただろう。俺たちは23面で足止めを食らっていた。ここ、これまでと比べても桁違いにきつい。まず、敵が強い。そして、多い。おそらくここは最終版。プリン王子も出撃前の演説でそんな事を言っていた。だが、剣士クリンが散り、相棒ことガイも敗れ、赤いヤツも堕とされるなど、何度挑んでも誰かが倒れる。その度にリセットだ。そしてエミリとの関係も一からやり直し。俺は、うんざりしていた。
あるとき、出来心から他の女に手を出してみた。女魔導士エルス。際どい衣装に身を包む、煽情的な女。前から気になっていた相手だ。今は戦闘中だが待機時間。隣りにはエロス、もといエルスがいる。思い切って聞いてみた。
「この戦いが終わったら、話したいことがある。テントで待っていてくれないか?」
「えっ? そうね……分かったわ。 じゃ、また後でね」
よっし(ガッツポ)。こうして俺は、戦闘後の幕間でエルスのテントに潜り込み、話し合いに勤しんだ。その折、余計な――当時は良いことだと思ってた――事を聞いてしまった。常に全線で活躍する俺を見て、前から気になっていたこと。エミリに遠慮して、二の足を踏んでいたが、俺からの誘いを受けて嬉しかったこと。どうやら俺は女性陣の中で一番人気らしいことなどだ。エミリの名が出て俺は少しの罪悪感を覚えたが、初期の周回でもエミリは多少のおイタは見て見ぬふりをしてくれていた。今回も、大丈夫だろう。そう高をくくっていた。
エルスに手を出してからというもの、俺は新たな目標を打ち立てた。度重なるリセットにより生み出される周回においてプリン軍の女メンバー全てと関係を持つ。これだ。これにより、度重なる周回で壊れかけた俺の精神は、快方へと向かい始めた。あれから俺は、周回の度に異なる女性と関係を持った。
・聖騎士マルム。母性に癒された。
・天馬騎士ルチア。天使の微笑みに癒された。
・剣士レグナ。クールな外見とのギャップに癒された。
・弓兵ネネ。 おぼこい姿と積極性に癒された。
・踊り子ロリィ。新たな世界に目覚めそうだった。
・シスタービティ。ビッチとか言って悪かった。
そして、今度の周回ではついに最後の牙城、王女メイダに挑戦する。王女はプリン王子の婚約者だ。それだけにこれまでは二の足を踏んでいた。ここに踏み入れたが最後、プリン軍は崩壊するかもしれない。だが、それでも構わない。どうせまた、次のリセットが来る。その前に、一回くらいこのルートを覗いてみるのも悪くない。
結論から言うと、攻略には成功した。しかも、この関係は結局一夜だけのもの。プリン王子には知られていない。完璧だ。満足した。そろそろエミリの元に、戻るときが来た。だが、何かおかしい。エミリに、避けられている? これまで、誰と関係を持とうと気付かぬふりで、いつでも俺を受け入れてくれたエミリ。そのエミリが。ついに、俺の元から去って行った。
これには流石の俺も堪えた。次の周回からはもう、ハーレム王などとバカな夢を見るのは止め、心を入れ替える。エミリ一筋で生きていこう。次は23面。ここでまた誰かが倒れ、リセットがかかる。もう少しの辛抱だ。だが、現実は無常。この周回で、ついに23面をクリアしてしてしまった。
俺は初めて姿の見えないプレイヤーに、本気の殺意を抱いた。
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