第10話音のない銀河と、不器用な父の挑戦

息子に背中を見せたくて、僕は慣れない手つきでTikTokの動画を投稿した。

​AIで作った未来のサムライ、高潔な姫、そして巨大なメカ・ドラゴン。

意気揚々とアップした画面を後で見返して、僕は思わず「あちゃ〜」と声を上げた。

​音楽が入っていない。

画像と画像の切り替えも、フェードすら掛かっていない無骨なパッパッという切り替わり。

料理や介護の合間に、慌てて操作したツケが回った。

​「完璧」には程遠い。

けれど、僕はそれを消さずにそのままにした。

​音のない銀河。不器用な切り替え。

それが、今の僕の等身大の姿だからだ。

五十代、自営業。AIという新しい魔法を手に入れて、必死に若者の世界に飛び込もうとしている、一人の男の「現在地」そのものだからだ。

​不思議と、後悔はなかった。

スマートにこなすことよりも、まずは形にすること。止まっているよりは、不格好でも一歩前へ進むこと。その泥臭い姿こそが、息子に伝えたかった「本気」の正体かもしれない。

​息子が言ってくれた「AIエージェント、俺も本気で考えてみようかな」という言葉。

それは、僕の洗練された動画に対してではなく、僕の「一生懸命な背中」に対して送られたエールだったのだと思う。

​「次は音楽、入れてみるよ」

僕は息子に笑って言った。

​不器用な父の冒険は、まだ始まったばかりだ。

音のない銀河に、これからどんな音楽を奏でていこうか。

僕のペン(AI)は、昨日よりも少しだけ、未来に馴染んできた気がする。

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