深夜の覚醒 AI
今日起こった出来事は本当に現実だったのだろうか。何度も同じことをくり返し考えては、わたしはただ夢を見ているだけなのではないかと思う。
ベッドで横になり目を閉じても、頭の中は帰り道の出来事でいっぱい。ポッキーだけでも情報過多なのに、夜見川君にキスされるなんて想像を超え過ぎている。
思い出すだけで体が熱くなって、布団が重たく感じる。それなのに眠気はちっとも来ない。どういう状態なの、これは?
手を繋いだ時も、見つめ合った時も、ドキドキが止まらなかった。夜見川君の目は真っ直ぐで、見つめられただけで全身が溶けてしまいそうな気分になった。
肝試しの夜からずっと胸がざわついてるのに、今日で一気に爆発した。完全にキャパオーバー。わたしはすでに死んでいる。
志穂ちゃんの「責任を取らないといけないね」って言葉も冗談だと思っていたのに、夜見川君がアッサリと「はい」って頷いたのには驚いた。っていうか、ホントに嬉しかった。
……でも、恥ずかしいとか嬉しいとか、そんなことがあるはずが無いとか色んな感情がが混ざり合い、結果容量の限界を超えて涙が出ちゃったんだよね。今でもどうしてあんなに泣いたのか、自分でも分からない。
ああ、眠れない。
布団の中でゴロゴロ転がる。あの幽霊の言葉がまた脳裏に浮かぶ。好きな人と一緒にいられる時間を、大切に……。
あの夜から夜見川君の横顔を見るだけで、いちいち死にそう。誰かを好きになることで、こんなに胸が疼くなんて。彼が好き、って気持ちがどんどん大きくなって、怖い。
もしあのキスが「かわいそうだからしてあげた」程度のものだったら? 夜見川君には他に彼女がいて、すでに色々と済ませてしまった後だったら? 実は志穂ちゃんに竹川君もろとも「卒業」させられていたら……? 考えれば考えるほど被害妄想が雪ダルマ式に膨れ上がる。
もう、明日学校で夜見川君に会ったら、どう顔を合わせればいいの? 目が合ったら、またドキドキして、変な声出ちゃうかも……。
時計の針がゆっくり進む。いつもは気にならない秒針の音が、カチカチとわたしに変なプレッシャーをかけてくる。
目を閉じても、夜見川君の顔が浮かんで寝付けない。気付けば体が熱くなって布団を蹴飛ばしている。
「うはあ、ダメかも……」
興奮が収まらなくて、何もしていないのに息が荒くなる。
こんな夜、生きていて初めてだ。わたしは睡眠を諦めたまま、天井を見つめていた。それでも、おぼろながらにこれが正しい反応なんだとも思っていた。
結局その日、わたしは一睡も出来なかった。
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