第4話 主人公という装置の、不気味さ

主人公を、

読者が立たされる位置だと定義したとき、

その位置が崩れる物語も存在する。


誰の視点にも寄り添えず、

感情を預ける先も見つからないまま、

物語だけが進んでいく。


そこでは、

読者は世界を引き受けることができない。

ただ出来事を消費するだけになる。


にもかかわらず、

その物語は「成立している」。


それが、

主人公という装置の不気味さである。


主人公を欠いた物語は、

破綻するわけではない。

物語として、

失敗しているわけでもない。


ただ、

読者が世界を「生きる」物語から、

世界を「眺める」物語へと、

静かに姿を変える。


ここにあるのは、

物語であるか否かという別ではない。

優劣の問題でもない。


あるのは、

読者が体験する世界の

質の違いである。


主人公とは、

物語を単純にするための存在ではない。

読者が世界を引き受けてしまうための、

重さを与える装置なのだ。



___________________________________________

いいね!・コメント・フォロー・評価よろしくお願いします!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る