のろいは祈りの一種

青切 吉十

兄なるもの

 「祝」という言葉がある。新漢語林によると『いわい』『ことほぎ』『よろこび』という意味。

 「呪」という言葉もある。同じく新漢語林によると『のろい』『いのり』『まじない』という意味。


 このふたつの言葉に、なぜ、「兄」という漢字が使われているのかご存じだろうか?

 結論から言えば、ここでの「兄」は、older brotherを意味していない。ジン+口で、『儿は、人のひざまずく形にかたどる。口はいのりの言葉の意味』(新漢語林)とのこと。

 それに示(祭壇)をつけて、『神主が祝詞を上げる場面を想定した図形』(漢字源)という。


 「祝」の初義は『神に祈って福を求める人』(漢字源)である。しかし、神にいのるのは福ばかりではなかった。『神に悪事を祈ることもある。この場合は「のろう」の意味となる。のちに祝から呪(のろう)が分化』(漢字源)した。

 ちなみに、「呪」は、『口+兄(祝)』(新漢語林)。


 備考だが、それでは、older brotherとしての兄の解字はどのようなものなのだろうか。

 漢字源によると、『兄は頭の大きく成長した人の姿を描いた図形』とのこと。

 「祝」と「兄」は、「口+儿」の形はかわらないが、口(祈りの言葉/大きい頭)、儿(人のひざまずく形/人)ともに意味するところがちがう。

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