第10話 復讐するは我にあり
藪木町では、騒がしくニュースが飛び交っていた。長男の銀二が、三男のチョッパーと、いよいよ直接対決をするというものだった。
お互いに、構成員をスカウトして、組織を膨らませた結果、小競り合いが勃発するようになったからだった。
チョッパー一派は、元より、それぞれのガタイがいいので、タイマンを得意としていた。それに対して、銀二一派はとにかく、集団でいたぶる徒党を組んでばかりだった。
銀二一派は、それぞれ、グループに分かれて、チョッパー派を取り込んで殲滅した。とにかく一騎打ちをしたがる、チョッパー派はその度に各個撃破され、じりじりと敗退していった。
このままでは、組織として体を成さない。チョッパー派は焦り、ボスのチョッパーが何度もおびき出され、小汚い男子トイレで16人斬りをやってのける程、新しい武勇伝を増やし続けた。
このまま全面戦争は避けられそうもなく、ただでさえ殺伐とした藪木町は、さらに不穏な空気に包まれた。
ゲームセンターでナノは、手下に囲まれ悦に浸っていた。どちらも戦力を削り、そして俺の軍門に下ればいい、そう思った。
俺達のやっていることは、ただの不良の喧嘩ではない。これは、親父の後継争いなのだ。藪木町長なんて、ちんけな喧嘩ではなく、市政へ、そして国政へ、俺は爆進してやる。
毎日、至るところで藪木町では、喧嘩が繰り広げられて、あまつさえ、改造した単車に乗って暴走行為まで、威嚇として平気で公道を占拠した。
廃ビルを一棟占拠した、ナノと、その手下は密かに凶器の準備を始めていた。そうして、血みどろの兄弟喧嘩は三者三様の様相を呈していた。
「それで、お前は勝ちそうなのか?」
奥村町長が廃ビルの最上階で、ナノに言った。
「オヤジ、俺はな、こんな街どうでもいいんだよ。オヤジと一緒さ」
「この国は、もう一度、滅んぶんだ。そして我々の手によって、再生されて然るべきだからな」
禿げ上がった、奥村町長は不敵な笑みを浮かべた。
「後継は銀二兄さんにでも、やらせたらいい、ぎりぎりまで派手にドンパチやって、俺たちは目立たないようずらかるからな」
「分かった、そうしろ。しっかりやるんだぞ」
ナノは兄の銀二が嫌いでしょうがなかった。それを同族嫌悪とでも言うのかもしれない。何かにつけて、難癖をつけてくる。最初から完全否定をする兄の存在は、目の上のたんこぶでしかない。
不毛な争いは終末を迎えない、決定打に欠けていた。藪木町は常に地獄絵図だった。宴は終焉を望み、からくも勝者を得ても、それは灰燼でしかないことは明白だった。
丁重な宴の後で 朱下 宣 @literature_or_not
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