第9話 どれほどの夢が黒板消しで、儚く消されるのだろう
そして、俺たちは解放された。狐に化かされた気分だった。
とぼとぼと歩く、俺たちをあからさまにギラギラした夕日が照らした。
「ごめんなさい、先輩」
「のっぺらぼう、なんて女の子の前で名乗って、格好をつけるからだよ」
石ころを一つ、タセンは蹴った。
転がる石は、無秩序にアスファルトの上で、軽く跳ねた。
「僕たちは、常に先回りされているのでしょうね」
それが奥村町長の親心とでも、言いたそうだった。
「……なんで、あんなにもドラ息子たちが、好き放題やっているのに何も言わないんだろうな、困らないのかな」
そう、俺は言った。
「血なまぐさいのにも、慣れきって、誰も彼もが正常じゃなくなってますよね」
「タセン、そんな風に、弱気にもなりたいよな」
自分の身を守るのは、やっぱり自力という自分の力でしかない。俺は非力だろうか、いや、違う、そうじゃない。そんな風に、俺たちは歯を食いしばり、弱音を口封じされているのだ。
高校生の時、教室の後ろの席で俺は思っていた。
さらさらと先生が白チョークで板書する黒板に書かれた知識には、この世の中にある間違いを正す術がない。
どれほどの夢が黒板消しで、儚く消されるのだろう。それは、どこまで平気で俺たち学生を追い詰めるのだろう。
やがて、俺たちは社会に出る、信じていた、まともや社会常識というのは、きっと誰かを信じても大丈夫という安心ではあってくれないのだろうか?
現実は嘘だらけだろうか。そんな悪意に負けたくないのは、果たして正義だろうか。
分からなくなっていた。俺は髪をかきむしりたくなっていた。俺は、俺のことが分からない。誰が俺のことを分かってくれるのだろう。
卒業後、俺はアルバイトを転々とする生活に慣れきった。それが、努力というものを怠った、俺へ用意されていた人生でしかなかった。
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