第4話 主人公とモブ友人とお嬢様
(四季は誰のルートに入るのかな?)
夕飯のパスタを茹でるために鍋でお湯を沸かす陽介は、今日クラスメイトになった
(個人的には是非ともハーレムルートに入って欲しいな……。それで俺は、そのハーレム空間をクラスメイトとしてニヤニヤ眺めたい!)
この世界は一夫多妻制も許容されている。
そのことは前世の記憶を取り戻してから、ネットで調べたので知っている。
(四季と仲良くなって、一緒に勉強とかしてステータス上げのサポートをするのもいいかもしれないな。そのためにも、自分のためにもステータス上げの検証を続けていかないとだな……)
毎朝のジョギングと筋トレを始めて二週間が経過した。
その結果、ジョギングは始めた頃の一.五倍近い距離が走れるようになったし、筋トレも倍のセット数がこなせるようになった。
この数値は陽介が想定していた以上の結果だ。
(初期値が低かったから伸びがいいのか? それとも、やればやっただけ伸びていくのか? う~ん……ゲーム的に考えれば、レベルが上がれば上がるほど伸び率は下がっていくもんだよな)
効率を求めることは大切だ。時間は有限だし。
けどそれ以上に継続する事が『
(とりあえず、今わかっていることはやればやるだけ伸びる。っていう当たり前のことくらいか。授業が始まったら学力の方も検証してみよう。ついでに参考書を買ってきて家でも勉強してみるか?)
色々と考えているうちに夕食を作り終える。
料理動画通りに皿に盛り付けると、かなり見栄えがいいパスタが完成した。
(うん……やっぱ、やればやるだけ伸びるんだよな)
一人暮らしを始めて自炊するようになってから、料理スキルが段違いに上がっているのを、盛り付けによって目に見えて感じた陽介だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
昨日、担任の高梨先生が言っていた通り、オリエンテーションとして先生の先導で学園内の案内をしてもらう。
体育館に室内温水プール。剣道場に柔道場。着替えるためのロッカールーム。調理室は二つ。理科実験室も二つ。音楽室に美術室、工作室。図書室に保健室とカウンセリングルーム。
どの施設も整備と掃除が行き届いていて、やる気のある生徒にとっては楽園のような環境だろう。
「先生、空き教室が多くないですか?」
真面目そうなクラスメイトが、廊下を歩いている最中に高梨先生に質問をした。
その疑問は陽介も思っていたことだ。
「そうですね。この辺の空き教室は生徒からの申請があれば放課後に使える教室なんですよ。例えば試験前の期間に勉強会をしたい、とか。趣味のパッチワークやビーズアクセサリーの作り方をクラスメイトに教える場所が欲しい、とか。そういった生徒の為になる活動で使える教室です」
(へぇ……そんな仕組みがあるんだ。ホント、いい学園だな)
高梨先生の答えに感嘆する陽介。
「なるほど……ご説明ありがとうござます」
「いえいえ、皆さんも疑問に思ったことは言ってくださいね」
その後も職員室や、基本的には縁がないであろう校長室の前を通って屋上に出る。
「屋上は基本的に開放されていますので、天気のいい日にお昼を食べるのに利用したりしてくださいね」
屋上を囲むフェンスは凄く高い上に途中から内側に折れているので、フェンスの外に出ることはほぼ不可能だろう。
(ある程度以上、安全が担保できているから開放されているわけだ。まぁ、エロゲの世界だし、鉄板イベントの『屋上でお弁当イベント』を起こすには、こういうもっともらしい理屈が必要なんだろうな……)
そんなことを考えながら、陽介はクラスメイトたちの列についていったのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そしてA組の面々は教室に戻ってきた。
トイレ休憩を間に挟んで、これから委員会決めのホームルームが始まる。
(委員会って押し付け合いのイメージが強いんだよなぁ……)
始まる前はそう思っていたのだが――特に揉めたり、押し付け合ったりすることなくスムーズに決まった。
(さすがは自由な校風が売りの進学校。積極的でやる気がある奴が多いな)
陽介は放課後は叔父の喫茶店でバイトをしたり、ステータス上げの検証をおこなうつもりなので委員会には所属しなかった。
本日も午前中で終了し、明日からはいよいよ授業が始まる。
(前世の記憶がある今となっては十年ぶりくらいの高校の授業かぁ……楽しみだ)
ワクワクした気持ちで陽介が帰り支度をしていると、隣から声を掛けられた。
「星崎くん、もう帰るの?」
「そうだな、学園にいてもやることがないし」
それに家に帰って家事など、やることがある。
(いや……一度、図書室を覗いてみるのもありかもしれないな?)
オリエンテーションは集団での施設案内だったので、入り口からエントランス辺りまでの、ほんの少ししか見れなかった。
だが、広々としていて蔵書数もかなりありそうな図書室だった。
(読書好きとしてはチェックしておきたい施設だよな)
そんなことを考えていると――
「それじゃあさ、途中まで一緒に帰ろうよ」
まさかの
是非ともその誘いに乗りたいと思ったが、一応確認しようと陽介は口を開く。
「お? いいのか? 仲良い子たち、いるんじゃないのか?」
「いやいや、いつも一緒にいるわけじゃないよ。葉瑠香も奈々も今日は仲良くなったクラスの子たちと寄り道するみたいだから」
「そっか、それなら途中まで帰ろうぜ」
ササッと帰り支度を終わらせて、陽介は信司といっしょに教室を出る。
昇降口から校門の方に視線を向けると、黒塗りのセダンに
「おぉ……常陸院さん、高級そうな車で送迎されてるのか……」
「本当だ。凄いねぇ……なんていうか、住んでいる世界が違うっていうか……」
「この辺りのことは引っ越してきたばっかで知らないけど、常陸院さんの家ってデカい家なの?」
「う~ん、僕もあんまり詳しくはないんだけど、ここら辺では有名な大きな企業を経営しているお家らしいよ?」
話しながら、二人で校門を出る。
「へぇ~……なんか肩凝りそうだなぁ……」
「ん? どういうこと?」
「いやさ、話を振ったのは俺だけど、こうやって陰で色々と言われたりさ。令嬢としての振る舞いを気にしたりしてたら疲れそうだな、って思って」
「あぁ、なるほどね…………。はは、それにしても星崎くんって優しいんだね」
「え? 今の会話の流れでどうしたよ?」
「だって、常陸院さんを気遣ってる感じがしたから」
「う~ん? そうかぁ?」
陽介は首を捻る。
そんな陽介を見て、信司は柔らかな笑みを浮かべていた。
「僕は電車通学なんだけど、星崎くんはどこに住んでるの?」
二人並んで駅の方向に歩きながら、信司が訊いてくる。
「学園と駅の間辺りだなぁ。スーパーの側にある公園の向かい側……っていえばいいのかな? そこに親戚が持ってるアパートがあってさ。そこで一人暮らししてる」
「へぇ、学園に徒歩で通えるのはいいねぇ」
「そうだな。しかもスーパーとかコンビニも近くにあるから結構便利な立地だし」
その後も信司がやっているゲームの話などをしながら途中まで一緒に帰った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
(四季はやっぱりいい奴っぽいよな。それに人懐っこい子犬属性だ)
夕食の片付けを終え、湯船に浸かりながら陽介は帰り道のことを思い出していた。
(きっとヒロインたちは四季の言動に母性本能をくすぐられるんだろうな……。で、時折見せる男らしいところのギャップにやられたりするんだろう)
そんなことを考えて陽介はニマニマと気持ち悪い笑みを浮かべる。
信司とヒロインズの進展を見守りつつ、友人付き合いができれば自分の学園生活は楽しくなりそうだ。
そんな予感がする陽介だった。
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