第4話 〖Assault〗
教室には、鉛筆を走らせる音と試験監督の先生の足音のみが聞こえる。
試験開始から20分ほど経ったかな。解答用紙を裏返す。
皆が僕をプレデターじゃないと分かっていても、周りの目線は冷たく感じる。
…後ろの人、僕の首を見てないか?
先生、僕を見すぎじゃないか?
あの人、消しゴムを拾う時に僕を見てはないか?
もしかして全員、僕の正体を……?
ありもしない事を想像するうちに、僕の心臓が跳ね上がる。
その感情は恐怖だと、本能的に気づいた。
抑えようとしても、バレた時のことを考えてしまい、更に変身が進む。
試験監督の先生が、僕の異変に気づく。その目は眼鏡の奥で鋭く光り、彼の手はすでに胸元のトランシーバーに伸びているようにも見えた。
「小鳥遊、具合が悪いのか?」
「……ぁ……あ……」
小鳥遊の喉から、人間のものではない低い唸り声が漏れる。
深緑の角がさらに数センチ伸び、学ランとシャツを突き破って背中の筋肉が盛り上がり始める。
保科は反射的に立ち上がった。
「先生! 小鳥遊は、持病の発作です! 私、保健室に連れて行きます!」
強引に彼の腕を掴む。
保科が触れた肌は、火傷しそうなほど熱く、爬虫類のような硬い質感が混じっていた。
「待ちなさい、保科さん。彼をよく見せて……」
先生の手が小鳥遊の肩に触れようとしたその時。
バリィィィィン!!
教室の窓ガラスが外側から粉砕された。
飛び込んできたのは、
漆黒のタクティカルスーツに身を包んだ数人。
そして彼らの胸元には、公安局特別災害対策部隊、
通称「SDT」のエンブレムが刻まれていた。
「ターゲット確認。個体名『プレデター』として確保する。抵抗は許可しない」
黒のロングコートを羽織るリーダー格の男が日本刀を構える。
保科の脳裏に、マスターの言葉が反芻した。
『政府に見つかったラ即ペット。一生日の目を見ることはないネ』
「逃げるよ、小鳥遊!!」
保科は、半分化け物へと姿を変えた小鳥遊の手を、これまでになく強く握りしめた。
…はずであったのだが。
彼女が握ったのは、冷たい空気であった。
その瞬間、校庭から割れるような爆発音がした。
第4話 〖Assault〗
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