第15話 男の表と裏

 東京に戻った班目康太から、壮太に連絡が入った。

「例の男の情報が集まった。そっちはどうだ。」

「千草に揺さぶりをかけてみた。」

「そっか、保志も動いたみたいだから、ミーティングといこう。」」 

 深山壮太、班目康太、山本保志は、再び例の居酒屋に集まっていた。

「壮太、奥さんの様子どうだった。」

 ジョッキを合わせて、康太が口火を切った。

「かなり回復して話はできないけど、筆談はできるようになった。」

「じゃあ、何か聞き出せたか?」

「いや。前回、焦って失敗したから、できるだけ福島行きは、何かあった?程度しか気にしていないということで貫いた。それもあって、笑顔も見られたよ。ちょっと嬉しかったな。」

「やっぱり嫁さんを愛しているんだな。」

 保志の言葉に、

「そりゃあそうさ。ずっと仲のいい夫婦と思ってきたんだからな。それで、やんわり福島行の目的を筆談で聞いたら、『おぼえていない』と。ただ、キャンプに詳しかったと言ったら、動揺している感じがした。」

「そうか、壮太やるな。やはりキャンプ・ワンゲルのことは引っ掛かるな。ただ、事故の影響で覚えていないなんてことあるかな?」

「それで、来週東京の病院に転院するんことになった、その時に確かめる。それで康太の方は?」

 班目は、タブレットを取り出して、表情を引き締めた。

「報告する。神成祐介、旧姓は山本。稲田大学政治経済学部卒 学生時代はワンダーフォーゲルサークル。卒業後、出身地の福島県のみちのく銀行に入社。優秀な銀行マンと評判で、仕事の関係で、福島県議、神成幸三の長女と知り合い結婚し、婿入りして神成姓になった。いずれ幸三の跡継ぎにと銀行を退職して秘書になる。そして、出身地の三本松市の市議選に立候補して当選。現在は、市議。幸三引退時に地盤、看板、鞄を引き継いで立候補するだろう。」

「福島の絵にかいたような、エリートとだな。こんな男が学生時代の元カノと会ったり不倫したりするか?せっかくの出世の道を失うことになるだろう。」

 保志の率直な感想に、壮太もうなずく。

「普通はそう思うよな。俺もそうだ。それで、地方紙の記者の何人かにそれとなく聞いてみたんだ。地方若手市議の取材と称してな。すると、活動自体は産業経済委員会で元銀行員の経歴を生かして普通にやってる。でもな、女好きという噂も少しあるらしい。何とか娘とか、ミス〇〇とかにやたら絡んでくるとかな、裏も顔もあるかもしれない。でも、それだけじゃないんだ。」

「ん?」

 康太の表情はさらに厳しくなった。

「これを見てくれ。神成の公式SNSだ。」

 タブレットを2人に見せた。

 インステだ。三本松市議会議員 神成祐介の名前と共に、9枚ほどならんでいる写真には、どれもスーツ姿の男が中心に写っている。壮太は、目をこらす。男の顔に違和感がある。

「え?こ、これは?」

「こ、康太、この男、少し壮太に似てないか?」

 保志が、大きめの声を挙げた。

「やっぱりそう思ったか。神成は、なんとなく壮太に似ていると俺も思う。」

 ど、どういうとだ?壮太は、体を固くした。

「やはり、専門家に詳しく調べてもらう必要があるな。この男のことを。」




 

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