第12話 男は誰か

 「おい!山本祐介って名前、聞いたことがあるのか?」

 班目まだらめ康太の声に、山本保志は、

「ちょっと、ちょっと待て、ずいぶん前に聞いたことが・・なんだっけなぁ・・。」

「じれってぇなあ!」

「あ!思い出した。」

 深山みやま壮太と康太は、保志の次の言葉に集中した。

「若い頃、銀行合同の研修があって、その時、一緒に研修をした中に、山本祐介という男がいたはずだ。」

「じゃあ、山本祐介は、お前と同じ銀行員なんだな。」

 山本保志は、四井総合銀行勤務の銀行マンだ。

「確か、みちのく銀行の行員だったはずだ。」

「みちのく銀行って、どこにあるんだ?」

「本店は、確か福島県のはずだ。」

 壮太と康太は、顔を見合わせて、うなずいた。

「よし、じゃあ、そのみちのく銀行に当たれば・・。」

 康太が意気込んだところで、保志が制した。

「ちょっと待て。俺の話には続きがある。行員だった、と言ったろ。」

「え?どういうことだ。」

「その後、同じ研修をしたということで、噂を聞いたんだ。なんでも、その山本祐介は、議員の娘に見初められて、銀行を辞めて、婿入りして議員秘書になったとか、と聞いたんだよ。同じ山本だから覚えていたんだ。」

「婿入り?じゃあ山本祐介は、今は山本姓じゃないのか!」

 壮太は、大きな声を出した。

「おい。じゃあ何という苗字になったんだ?」

「ちょっと待て・・思い出すから。確か、少し変わった・・苗字だったような。」

 山本保志は、生ビールをグイっと飲んだ。ふっーと息を吐いて

「思い出した。神成かんなりだ。」

「神成祐介・・・。」

 壮太の探している男の本当の名前が分かった。

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