第9話 妻の友人

 班目の助言を受けて、義母に連絡をとった。

「お義母さん、千草が入院していることを親しい、友人には知らせておこうと思って。連絡がつかないと心配する人もいるかと。僕は、会社で知り合ったので、学生時代の友人は面識がなくて。学生時代に、特に仲のよかった人とかいますか?」

「壮太さんの言うとおりだわ。そうねえ。大学時代は、利加りか、という子の名前がよく出てたわね。確か、サークルも同じで。」

「その高山さんは、どちらにお住まいですか?」

「東京よ。割と近くに住んでいるとか、会社が近いとか言ってたから。」

「分かりました、調べて連絡をとってみます。ありがとうございました。」

 スマホの電話帳を見ると、『高山利加』という名前が見つかった。結婚式のアルバムを出して、はさんであった座席表にも名前があった。披露宴にも招待する仲だから、詳しい違いない。

 妻のスマホから、電話をかけた。

「もしもし、千草?ひさしぶり。」

「高山利加さんでらっしゃいますか?」

「え?は、はい、そうですけど。」

「私、深山と申します。千草の夫です。」

「ああ、それで。なぜ、私に千草の電話から、ご連絡を?」

「実は、妻の千草が交通事故に遭いまして、それでご連絡を、と思いまして。」

「だ、大丈夫なんですか?千草は?」

「あの一月ひとつきほど前に、東北自動車道でバスの事故があったことをご存じでしょうか?」

「はい、知っています。ニュースで見ました。」

「そのバスに千草は、乗っていて事故に遭ったんです。命に別状はなく、ケガも両手を骨折しましたが、順調に回復しています。」

「ああ、よかったぁ。」

「ところが、事故で頭を強く打ちまして、現在、コミュニケーションが取れない状態なんです。」

「あの、意識不明とか?」

「いいえ。意識もあるんですけど、うまくしゃべれないんですね。事故のショックもあるかもしれません。それで、少し高山さんにお聞きしたいことがありまして、時間をいただけませんか。」

「はい。構いませんけど。」

「では、高山さんの指定した時間と場所に伺います。そうお時間は取らせません。」

「分かりました。では、土曜日の10時、**駅の前の珈琲店でどうでしょう。」

「ありがとうございます。感謝します。」

 よし、ここが突破口になってほしい。壮太は、千草の友人の話に期待した。

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