第3話 妻の姿

「お義父さん、千草がバス事故に巻き込まれて入院したそうです。はい。福島中央病院です。」

「なんだって、我々もすぐ向かうから。」

「お義母さんの腰は大丈夫ですか?」

「え?女房はピンピンしてるよ。2人ですぐ向かうから。」

 いったい何が起きてるんだ?

「みんな支度しなさい。着替えとスマホだけでいい。病院へ行くよ。学校の欠席は、明日の朝すればいいから。勿論、パパも仕事を休む。」

 娘たちは、うなずいてスーツケースに服を投げ入れ始めた。


 車を飛ばして、福島中央病院に到着したのは、12時前だった。途中、車のテレビでは多くの負傷者が出ていることをニュースが報じていた。死者が出てないことに少し安堵する。

 病院の前は、多くの報道陣が駆けつけていた。それをかき分けて病院のエントランスへ入る。多くの負傷者が担ぎ込まれたのだろう、夜中にも関わらず病院内はごった返している。

「深山千草の家族です。」

「7002号室です。」

 4人で病室に入ると、ベッドに妻が横たわっていた。頭と両腕に包帯が巻かれている。腕はギブスだろうか太くなっている。看護師が、

「外傷は、右前腕、橈骨の完全骨折。左前腕、尺骨の不全骨折です。事故の際にかなり強く手を突いたようです。それに額に挫創があったので頭を打った可能性があったのでMRI検査をしました。脳挫傷や脳出血は見られませんでした。意識は、まだ混濁しているようです。」

「ママ。」

「大丈夫?」

 千草は、顔を向けたが、まだ意識がはっきりしないのか、ぼうっとした表情のままだった。

 しばらくすると義両親が駆けつけてきた。

「壮太さん、千草の容態は?」

 看護師から聞いたことを伝えると、

「命に別状はないんだな。よかった。でも、どうして福島に千草は?出張なのかい?」

「いえ。何も聞いてなくて。」

「もう。久しぶりに会うのが病院だなんて・・・。」

「お義母さん、2か月ぶりくらいじゃぁ。」

「ええ?お正月にみんなで来てくれたでしょう。それ以来よ。千草に会うのは。」

 先々月も実家に帰っていたはずじゃ・・。

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