第2話 突然の連絡

 夜になっても既読にならない妻へのLIME。深山壮太は、娘たちに話しかけた。

「なあ。母さんにLIMEに、実家に着いたら連絡してって送ったんだけど、既読にならないんだよね。」

 長女の那都なつが、

「おばあちゃんの腰の具合が悪くて手伝いに行ってるんでしょ。着いてやることがいっぱい仕事があるのよ。」

 次女の明季あき

「そうだよ。おじいちゃん1人じゃ何にもできないから、掃除に料理、買い物と、もう大変なんだからってママ言ってたもん。」

 調子を合わせる。

「そうか。そうだな。」

「気になるならパパ、ママじゃなくておばあちゃんに電話すればいいのに。」

 末娘の芙由ふゆが無邪気に言った。

「そうだな。」

 電話の受話器を取ろうとした時、壮太のスマホが鳴った。見知らぬ番号からの着信。胸騒ぎを感じながら出る。

「深山壮太さんの携帯でしょうか。」

「はい。深山です。」

「福島県警交通課の本間と申します。深山千草さんは、奥さんで間違いありませんか?」

 自分の心臓の鼓動が急に早くなったのが分かった。

「本日、東北自動車道でバスの事故があったことをご存じですか?」

「はい。テレビのニュースで見ました。」

「あのバスに奥さんが乗っていて、事故に遭われました。今、福島市の病院に入院しています。」

「え?間違いじゃないんですか?妻は、静岡に行っているはずなんですが。」

 そんなはずがない。

「奥さんの持ち物に社員証がありまして、それで大日保険にお勤めと分かりました。それで会社に連絡をとって、ご主人にお電話をしています。」

「それでは間違いないです。」

「奥さんは、福島中央病院に入院しています。事故原因等は現在調査中です。」

「そ、それで、妻は無事なんですか?」

「命に別状はないと聞いています。では、失礼します。」

 壮太は、スマホを持ったまま椅子に座り込んだ。

「パパ・・・。」

「ママ、事故に遭ったの?」

 娘たちが不安を口にする。芙由はもう泣いている。

「バスに乗って事故に遭ったんだ。でも、大丈夫だ。命に別状はないそうだ。」

「え?バス事故って東北じゃなかった?ママは静岡でしょ?」

 名都の声がリビングに響いた。

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