暁の暗がりの中で

@mikoto3130

第1話

「寒い…寒い…」


空に茜がかかる頃、

ジャリジャリと音を立てながら一人の少年が焦げきった草原を這いずっている。

体は焦げた食パンのようで、少し風を吹かせばボロボロと崩れ落ちてしまいそうだ。

そんな体に鞭を打って、前へ前へと進み続ける。


(このまま…このまま頑張って進み続ければ…着くはずなんだ…)


彼の赤色に染まった目は、

大きな鐘と、純白とは言い難いようなくすんだ色の壁に身を包まれた教会を写している。


(僕に…残してくれた…最後の…約束)


進み、血を吐き、進んで止まる。

鞭と鉄球を打ち付けられても醜く生き残ってしまった体にも、ついには限界が来る。


「…ぁ」


腕が、外れたのだ。

ボロボロになって、焚き火の中の木の棒のようになった腕は、苦痛を残さず、

ただ消失感を残すだけであった。


(痛い…痛い…血が…とける)


ここが教会の前だったのは奇跡だろう。

何せ神はここで血を流すことを許さない。不純な血をこの地に残したくないのだろうか。それとも神の救いだろうか。


(あぁ…これ…無理だ)


信心深い罪人に女神像は見向きもせず、信徒が鐘の音を響かせる。


(せめて…お祈りぐらいしたかったな…)


それは言葉にならず、ただ遺言として心に残った。

そうして、安らぎを求め瞼を閉じる。

落ち葉を踏み鳴らす、音と一緒に。

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