第26話 問題
りおが、私の目を見つめる。
真剣な目。
でも、どこか楽しそう。
「問題」
私は、息を止めた。
「私の体重は?」
体重。
え。
体重?
そんなの、公表されてるのか。
いや、待って。
何かで見た気がする。
雑誌。
インタビュー。
確か。
「誤差2キロまでは許してあげる」
りおが、にっこりと笑う。
「だから、43キロから47キロの間なら、正解ってこと」
範囲は広い。
でも、わからない。
体重なんて、正確には。
「あ、それとね」
りおが、指を2本立てる。
「答える権利は、2回まで許してあげる」
2回。
2回、チャンスがある。
「優しいでしょ?」
りおが、ウインクする。
優しくない。
全然、優しくない。
でも、2回答えられるなら。
まだ、可能性はある。
思い出せ。
雑誌のインタビュー。
確か、何か言ってた。
「私、結構食べるんですけど、太らないんですよ」
そう言って、笑ってた。
体重は。
確か。
40キロ台。
いや、40キロ?
それとも、もっと軽い?
りおは小柄だ。
身長、160センチ。
だったら、40キロくらい?
「答える?」
りおが、催促する。
「はい…」
私は、震える声で答えた。
「40キロ」
りおの顔が、少し曇る。
「残念」
違う。
心臓が、ドクンと跳ねる。
「でも、もう一回、答えられるよ」
りおが、にっこりと笑う。
もう一回。
40キロじゃない。
じゃあ、もっと軽い?
38キロ?
それとも、逆にもっと重い?
頭が、混乱する。
考えろ。
りおの体型。
細い。
でも、胸はある。
筋肉もついている。
ダンスをしているから。
だったら、40キロより重い?
いや、でも。
「早く答えて」
りおが、急かす。
「38キロ…」
私は、青ざめながら答えた。
りおの顔が、変わる。
笑顔が、消える。
そして。
ため息。
「はあ…」
長い、長いため息。
「のぞみちゃん、全然わかってないね」
りおが、立ち上がる。
どこかに行く。
そして、戻ってくる。
手に、何かを持っている。
デジタルの体重計。
「ほら、見て」
りおが、体重計に乗る。
数字が、表示される。
45.0
45キロ。
「私、45キロだよ」
りおが、体重計から降りる。
「40キロでも、38キロでもない」
誤差、2キロ。
43キロから47キロ。
45キロは、範囲内。
でも、私の答えは。
40キロと38キロ。
どちらも、外れている。
「残念だったね」
りおが、にっこりと笑う。
でも、その笑顔は、冷たい。
「2時間分、リセット」
りおが、スマホを操作する。
「残り、63時間15分」
元に戻った。
せっかく獲得した2時間が。
消えた。
「それと」
りおが、私の顎を持ち上げる。
「罰ゲーム」
その言葉が、胸に突き刺さる。
「更なる罰ゲームが、待ってるよ」
りおの笑顔が、怖い。
「楽しみにしててね、のぞみちゃん」
私は、震えることしかできなかった。
間違えた。
2時間が、消えた。
そして、罰ゲーム。
何をされるんだろう。
考えたくない。
でも、逃げられない。
りおの手が、私の頬を撫でる。
「さあ、罰ゲーム、始めようか」
その声が、耳に染み込む。
私の試練は、さらに深い闇へと向かっていた。
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