第20話 儀式2
食事を終えて、皿が片付けられた。
ソファに座る。
沈黙。
りおが、私を見つめている。
その視線が、重い。
「ねー、のぞみちゃん」
「は、はい…」
「男だった時さー」
りおが、にっこりと笑う。
でも、その目は、笑っていない。
「私、見て何してたの?」
「え…」
心臓が、止まりそうになる。
「ほら、ファンなんでしょ?私のこと、好きだったんでしょ?」
「それは…はい…」
「YouTubeとか、ライブの映像とか、見てたよね?」
「はい…」
「それで?」
りおが、顔を近づけてくる。
「何してたの?」
言えない。
絶対に言えない。
目の前にいるアイドルを見て、オナニーしてた、なんて。
そんなこと、口が裂けても言えない。
「言えないの?」
「あ…あの…」
「ふーん」
りおが、にやりと笑う。
「やっぱり、そーなんだー」
私の沈黙が、答えになってしまった。
顔が、熱くなる。
恥ずかしい。
惨めだ。
「別にいいよ。みんな、そうだもん」
りおが、あっさりと言う。
「ファンって、そういうものでしょ?」
その言葉が、刺さる。
「でもね」
りおが、立ち上がる。
私の目の前に立つ。
「のぞみちゃん、今、女の子なんだよね?」
「は、はい…」
「じゃあさ」
りおが、にっこりと笑う。
その笑顔が、ゾクッとするほど、妖艶だった。
「私が、してるとこ、見せてあげる♡」
「え…」
「女の子同士だから、恥ずかしくないでしょ?」
りおが、自分のTシャツの裾を持つ。
そして。
ゆっくりと、脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと…」
「何?」
りおが、不思議そうに首を傾げる。
でも、手は止めない。
Tシャツが、脱げる。
白いブラジャー。
豊かな胸。
「り、りおさん…」
「大丈夫だよ」
りおが、ブラのホックに手をかける。
外す。
ブラが、床に落ちる。
胸が、露わになる。
美しい。
でも、見ちゃいけない気がする。
「次は、これ」
りおが、ショートパンツのボタンを外す。
ジッパーを下ろす。
パンツが、下がる。
細い腰。
白い太もも。
そして、下着。
黒いレースのパンツ。
「のぞみちゃんも、脱いで」
「え…」
「一緒に、気持ちよくなろう?」
りおが、私の手を取る。
「ダメ…です…」
「なんで?」
「だって…」
「女の子同士だよ?」
りおが、私のワンピースの肩紐に手をかける。
「待って…」
「大丈夫。優しくするから」
そう言って、りおは私のワンピースを、ゆっくりと下ろし始めた。
私は、抵抗できなかった。
体が、動かない。
頭が、真っ白だ。
ワンピースが、床に落ちる。
白いレースの下着姿。
「可愛い」
りおが、私の体を見つめる。
「ねえ、のぞみちゃん」
りおが、ソファに座る。
そして、自分の体に手を這わせ始めた。
胸を。
お腹を。
太ももを。
「これ、見たかったでしょ?」
りおの声が、甘い。
「男の時、想像してたでしょ?」
その通りだ。
何度も、想像した。
りおの体を。
りおの姿を。
でも、こんな形じゃなかった。
「ほら、よく見て」
りおの手が、さらに下へ。
下着の中に。
「あ…」
りおが、声を漏らす。
「んっ…」
その声。
その姿。
俺が妄想していた、それ以上のもの。
いや、妄想を超えている。
「のぞみちゃんも、一緒に」
りおが、私を見る。
潤んだ目で。
「触って。自分の体」
「で、でも…」
「大丈夫。女の子の体、気持ちいいよ?」
りおが、私の手を取る。
そして、私の胸に導く。
「ほら」
柔らかい。
温かい。
私の、胸。
「どう?」
「わかんない…です…」
「じゃあ、教えてあげる」
りおが、近づいてくる。
そして。
私の体に、触れ始めた。
「あ…」
思わず、声が出る。
敏感だ。
すごく、敏感。
「ね、気持ちいいでしょ?」
りおの指が、私の肌を這う。
首筋。
鎖骨。
胸。
「や…」
「我慢しないで。声、出していいよ」
りおが、耳元で囁く。
そして、儀式は続いた。
長い、長い夜が、始まったばかりだった。
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