第4話

創造妃を鍛錬する上で一番重要な事は、武器として共に成長する事でも、多くのゴーレムを倒す事でも無い。

それは、神代鍛冶師トバルカインとして、創造妃アーマード・イヴとの恋愛感情と性欲による興奮効果である。


彼女達は武器であり、並半端な熱じゃ、武器として成長する事が出来ない。

心の底から熱を帯びる様な恋慕を重ねる事で肉体は柔軟になり、鍛冶師の槌を受け入れる態勢となる。

即ち、熱によって肉体に溜まる不純物を排出させ、武器として強化、拡張させる事が重要なのだ。


その為に、神代鍛冶師と創造妃の殆どは恋人や夫婦の様な特別な関係になる者が多い。

ボクは、そんなやり方は非効率的だと思っている、彼女達の矜持でもある武器としての進化と鍛錬、その為ならば、ボクは彼女達の趣味趣向に沿う行動、関係を築くと思っている。


そして、主従逆転関係に関して興奮を覚えるロザリオ=インタングルメンツさんは、すっかりボクの鍛冶師の槌おおづちを受け入れた様子だった。

砥石の様に、武器の強化に利用出来るゴーレムを、有刺鉄線と化した彼女の肉体と挟み込む様に何度も何度も繰り返して叩き込むと、悦びの声を挙げてくれる。


『だ、めッ、そん、なぁッ~~~ッお、ィ、ぐッ、いグッ、ぅ、ぅうううッ』


有刺鉄線がより一層引き締まる感覚が鍛冶師の槌を通じて感じて来る。

彼女の武器に向けてボクは鑑定する事が出来る眼を向けて、彼女のステータスを改めて確認した。




『人態銘』ロザリオ=インタングルメンツ

『武装銘』スリサズ・ソニア

『武装状態』有刺鉄線バーブド・ワイヤー創造妃アーマード・イヴ

『鍛錬レベル』30/150

『スロット』

灼煉プロミネイス

武器に高熱を持たせる刻印。

密度が高ければ高い程、温度が上昇する。

刺月ピ・クー

刺突系武器専用の刻印。

切先が鋭く尖った部分を瞬間的に肥大化し敵を穿つ。

〈追加スロット〉

『武器ステータス』

〈破壊〉E+ 〈速度〉C  〈密度〉A

〈操縦〉C+ 〈射程〉B+ 〈会心〉E+

『装備時上昇率』

〈筋力〉108.300%→203.433%

〈敏捷〉221.003%→322.981%

〈耐久〉110.439%→220.550%

〈技量〉104.971%→298.549%

〈耐性〉102.200%→264.961%





これ程までに成長するとは、神代鍛冶師冥利に尽きると言うものだ。

やはり、ロザリオさんは成長の振り幅が大きいな、ボクの眼に狂いは無かった。

けれど、此処まで成長するのならば、何故、獅子斑くんは彼女を此処まで成長させなかったのだろうか、神代鍛冶師としての矜持が足りていないんじゃないだろうか。

そんな事を考えながらも、ようやくボクはゴーレムを倒す準備を整える。


既に、敏捷の上昇率はボクの敏捷ステータスを約三倍にしてくれる効果が付随している為、ゴーレムの攻撃は当たる気配すらない。

尤も、当たった所で耐久の上昇率が約二倍なので、受けた所でダメージは限りなく低くなっているだろうけど。


「じゃあ、そろそろ……終わらさないとね」


静かに、ボクはゴーレムから遠のきながら思考を分散させる。

現在、スリサズ・ソニアの特殊効果スロットは一つ追加されている状態だ。

ボクがこれまで、ゴーレムを討伐した事で得た『魂の刻印』の中から、彼女に見合うスキルを見繕う。


「それじゃあ……スリサズ・ソニア、一番、大きい力をれさせて貰うよ」


その言葉を口にすると、先程まで快楽に浸り、頭がバカになりかけていたロザリオさんは鋳れる、と言う言葉を聞いて一瞬正気に戻る。

魂の刻印は、身体が出来上がって無いと肉体に大きな損傷を齎す。

だからじっくりと内側からほぐしてやらないと、新たな特殊能力を受け入れる事が出来ないのだ。


『え、ぁ……だゃめ、もう、あたし、これ以上は、壊れちゃう、から……も、もう、止めて、やめてください、ご主人さま、お願いッ、お願いしますッ!!』


すっかり、ボクの事を主として認識してしまった様子だ。

主従プレイもすっかり板についた所で、彼女の力を最大限に引き出す為にボクは微笑んだ。


「なら、壊れなよ」


その言葉を最後に、ボクは『魂の刻印』を乗せた鍛冶師の槌を振り下ろし、有刺鉄線を押し潰す様に地面に叩き付ける。


「『種蝕プラ・パラ』・『付加アドラス』」


カァァァァァンッ!!と甲高い音が響き、魂の刻印をスリサズ・ソニアに付加したと同時。


ぷしゃ、ぷしゅ、ぴゅしゅぅぅッ!!と大量の煙と花火の如く火花が散る。

鋼に宿る不純物が、赤い閃光として噴水の様に周囲に飛び散ったかと思えば、獣の様な下品な声をロザリオさんは喉奥から漏らしていた。


『~~~~っ!!?!??!  ぁッ  ~~~ ? ?   っ ?お、っぉぉ、お、っ ~~~っ』


膨大な魔力を体内に向けて鋳造なかだしされた事により、多幸感と絶頂の波が同時に押し寄せて脳内が完全に馬鹿狂いをしてしまった様子だ。

この状態に陥る代わりに、彼女は武器として膨大な力を手に入れた。

それは祝福であり、感動すべき立ち合いの元だった。

可愛らしく有刺鉄線の一部がボクの手首に巻き付いて来る、完全にオちた事を確認した所で、従順にボクの意思に応じて有刺鉄線の茨が動くのを確認。


改めて、東京タワーのゴーレムに視線を向けて鍛冶師の槌を相手に向ける。


「それじゃあ、終わらせようか、今度はキミが壊れる番だ」


ボクの意思と共に有刺鉄線が四つに分かれて、ゴーレムを囲い出した。




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