32話 先生の話

知也くんへ

こんにちは。真理です。知也くんに、伝えたいことがあります。電話で言おうと思ったけど、勇気が出ませんでした。だから、お手紙にしました。


知也くん、昨日はごめんなさい。真理は昨日、知也くんが好きって言おうと思っていました。だから、遊びに行こうって電話しました。だけど、好きって言えませんでした。素直に気持ちを伝えればよかったのに、ごめんなさい。



「し、信じられません。大沢知也、22回目のダウンですが、まだ立ちあがります」



去年、真理が試合を応援した時から、そして分数の計算ができないから、知也くんは怒っていましたね。本当にごめんなさい。それなのに、それでも親切にしてくれてありがとう。本当は怒っていたんだよね。



「大沢、今日の目つきは違うな! 僕に勝った時の目じゃない。あれからの無力な目でもない!」



全部、真理がおバカさんだから、いけなかったんですね。おバカさんにはなりたくなかったけど、知也くんごめんなさい。それでも知也くんが「真理は先生になりたいんだろ」って言ってくれて、嬉しかったです。


あと、もうひとつ。未美ちゃん、本当は私のこと嫌いなんだよね。それも、私がおバカさんだからなんだよね。



「いつも通りだよ、小林。少し違うだけで」



私は知っています。おバカさんは先生になれません。それでも、知也くんは親切にしてくれました。ありがとう。


私は今度、知也くんとコンサートに行きたいです。友達のおバカさんとしてではなく、恋人として行きたいです。お小遣いが足りなかったので、絵本を全部売ってチケットを買いました。絵本は売っても、あまりお金になりませんでした。


今日は試合、がんばってください。私は知也くんが勝っても負けても、知也くんが大好きです。


                                          

                               真理より

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