12話 天使という名の悪魔
保健室で坂野が話した、大沢知也が小林に勝ったあの試合。その後、大沢は全国大会で準優勝を成し遂げた。だが、彼はボクシングをやめようとしていた。
唐海中等部にて。
「河合先生……僕には、もう無理です」
「そんな、あれだけの成績を収めたんだぞ。もう少し続けてみろ」
「すみません。僕はボクシングが嫌いです」
……
「お前が大沢か」
後ろを振り向くと男が立っていた。大沢にはこの男に後光が差している気がした。
「……あなたは誰ですか?」
「高校大会チャンピオンの吹野英だ。通称モグラ。大沢知也、俺が貴様の全てを手解きしてやる」
何かの力が働いた。導かれる様に、大沢は喉の渇きを訴えた。この人なら、僕の欲しい力をなんでも与えてくれる。すがる様にしゃがれた声を出していた。
「あなたは、僕の救世主ですか?」
笑った。吹野英が笑った。それを見て大沢も安堵の笑みを見せた。僕は解放される。真理からも、正しさからも。吹野は丁寧に大沢の気持ちを紐解いていく。いや、何かを作り上げていった。
「大沢。憎しみに勝る感情はない。そしてボクシングで得た憎しみは、ボクシングでしか晴らせない。お前は望んでいるはずだ。人を殴りたいとな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます