第5話
「やめよう…上野、こんなもん正義でもなんでもない」
「梶原の事を世間に暴露するには法律でがんじがらめの人間には無理…相手はケモノ、ケモノにはケモノになるしかないって教えてくれたのは私の記憶違いじゃなかったら三原さん…貴方だったと思うけど」
「そうだ…だがお前は動画で自白させそれを日本国民に知らしめて信を問うと…殺しはしないと俺に約束したろ?!だが俺はあの動画を見た時俺は確信したよ…上野…お前笑ってたな?正義だと言うならなぜ人を殺した後笑える!」
拘束されていた富田を口を挟む
「三原さん!あんた間違えてる!今回の件…計画は全て神崎だ!神崎が…」
パァン!
乾いた破裂音が響くとこめかみから血を流し富田は崩れるように倒れた
「上野!」
「動かないで!ほんと…誰のおかげでここまでなれたのか理解してないとか…」
「…やめろ、もう…上野…気持ちは…」
パァン!
三原の足元に銃弾が放たれる
「私の何が分かるって?言ってみなさいよ!私の事はもういいの…でもね?麻美やお母さんまで死んだの!みんな嘘ついて法律の穴を突き梶原が世に放たれた…そして麻美の尊厳を踏みにじって!法律で守られるべきは麻美の方なのに!なんで梶原が守られるの!貴方もあの手紙を読んだでしょう?!こいつと梶原智一が麻美に何したか、私からしたらね!いくら麻美の薬物反応を疑っても公表せず上からの圧力で逃げたあんたも同罪なんだよ!あの二人をアリバイ作りに協力させたらアンタは絶対に自責の念に駆られる…三原…私はアンタも殺したいのよ!」
「どうした?言ってることがめちゃくちゃだぞ?」
「めちゃくちゃじゃない!アンタまでアタシを否定するから!結局…私を肯定してくれたのはあの人だけ…もう…何が正しいなんて分からないの…」
目に涙を浮かべ叫ぶように心の内を吐き出す上野
「お前を闇に堕としたのは神崎か?!神崎なんだな!まだ間に合う、俺も自首する!人間に戻りたいなら自首し…」
パシュッ
籠った破裂音と同時に左脇腹に衝撃が走る
「三原さん、今更何言ってんだ」
三原は振り向くとそこにはサプ付きの拳銃を構えた神崎がいた
「神崎…!!」
神崎は泣いている奈緒美にそっと寄り添い肩を抱く
「奈緒美、こんな奴に惑わされるな…俺がついてるお前は何も間違っちゃいない」
泣きながら上野は黙って頷くだけ
その瞬間三原も銃を抜くが瞬時に腕と腹を撃たれた
「無駄だって」
「お前…上野をどうするつもりだ…ハァ…ハァ…大隈も動いているぞ?時間の問題だ…お前は大隈のSなんだろ…?大隈がお前を見過ごすわけが無い」
「S…か…まぁ当たらずとも遠からずだな…だが俺は逃げ切れるさ…でも」
神崎は照準を倒れた三原の頭に向ける
「ここから先…それをアンタが結果を必要はないよ、じゃあな」
バァン!
勢いよくドアが開くとそこにはデンジャラスペアの2人がいた
「神崎!奈緒美!」
「雪!Nancy!どうしてここが…?!」
驚く上野
瞬時に状況把握する神崎
「へぇ…もしかしてこのオッサン、アンタらに電話繋いでたか…GPS…意外と食えないなぁ」
神崎が上野を盾にし銃を三原に向けた
「神崎ぃ!」
Nancyも拳銃を抜くが上野が盾では撃てない
「こうすると撃てねぇよな?警察は。基本は「生きて確保」だもんな」
雪が小声でNancyに伝える
「狙える?」
「無理、どうしても奈緒美に当たる」
「とりあえずこのオッサン助けたいなら早く医者連れてった方がいい、この出血…持たねぇぞ?」
「逃げんの?」
Nancyも照準を外さず神崎だけを狙うが射線上に上野がいるので撃てない
「あぁ、やり残した事があるが…まぁいいさ、大隈に捕まるくらいなら俺は他所へ行く、お前らが1歩でも動いたらこのオッサン殺すぞ?いいな?」
そういい神崎は上野を盾にしたまま非常階段に続く扉を開ける
「どこに逃げてもアタシは諦めない、奈緒美をアンタから取り戻す!」
雪の一言に神崎が動きを止めた
「俺から奪ったのはお前らだろ?…俺は奈緒美を返してもらっただけだ、ふざけた事ぬかすなよ?」
「私らが奪った?」
「そうだ、くだらん正義感を植え付けたくせに中途半端に奈緒美を捨てた、俺は絶対に奈緒美を捨てない、たとえ世界を敵に回しても」
「私らからしたら神崎、アンタが奈緒美の復讐心を焚き付け殺しまでさせたクソ野郎にしか見えないよ」
「平行線だな…まぁもう二度と会うこともないだろう、ま、桜のバッチをつけてせいぜいつまらん正義感を満たすといいさ、じゃあな」
神崎が上野をつれて非常階段の扉を抜けるとドアノブを破壊し階段を降りていった
雪が三原に駆け寄り声をかけNancyが救急要請
「課長?!しっかり!」
「こちら田原!三原課長が撃たれた!場所は…」
「はぁ…オジサンがカッコつけよう…とする…もんじゃ…」
「喋っちゃダメ!」
「もう…いい…疲れた…みんなを騙す…のも…」
「何言ってるんすか!」
「俺…なんだ…反…社会組…織…撲…滅作戦…の…時…誠人会系列の情…報を流したのは…すまなかった…」
それだけ言うと三原は意識を失った
救急搬送され三原は緊急手術室へ
雪とNancyが待合室で待っていると部長と女性が入ってきた
「三原の奥様だ」
「いつも主人がお世話になっております」
夫人は深々と頭を下げた
つられて2人も立ち上がり頭を下げる
「もしかして貴方達?名コンビって」
「え?あ…はぁ…」
「圭ち…主人がいつも言ってたわ、手がかかる2人組だがいいヤツらだって。アイツらを見てると俺も元気を貰えるって言ってたわ」
夫人は笑いながら気丈に振る舞った
「すみません!私達がもっと早く現場に着いてれば…」
「謝らなくていいの、頭を上げて、貴女達は「正しい事」をしたのでしょう?それは遅かったとかじゃないと思う、むしろ貴女達が来てくれたからあの人は辛うじて生きてたの、だからお礼を言うのはこっち、主人を助けてくれてありがとう」
夫人は深々と頭を下げた
「後ね、あのいい加減男が珍しく真面目な顔して私にね「何かあったら迷コンビにこれを渡してくれ」って…中身は見ないでくれって言ってた。珍しいなぁと。移動になってほぼ内勤みたいなもんだから危ないことなんてないって笑って…私に言ってたのに…どこかで覚悟してたのかもね。実はね?この手紙を預かる前に酔って帰ってきてずっと謝ってたの…「俺のせいでごめん」って初めは県警から移動した事を言ってたのかと思ってた…でも違ったんです、たぶん…今のメンバーに向けた言葉なんだと思います」
「この手紙…読んでもいいですか?」
「雪!こういう時は拝読っていうの」
「フフっ…そんなの事気にしないで良いわよ」
雪が封筒を開けると便箋が数枚
ー藤原、田原へー
俺は東部署を裏切っていた…反社会組織撲滅作戦の時、俺は2課や4課が集めた証拠を神崎に渡していた。
上野 奈緒美がこの街戻っていた事も知っていた、俺は県警時代、上野の教育係だった時期があるが部署が代わり上野は捜査一課へ行ってから疎遠になっちまった。
梶原事件の後、奈緒美の妹、麻美の自殺事件の捜査を俺が担当したんだ。
検死結果を見た時、俺は作為的な物を感じた、解剖後に上野に伝えずすぐに火葬、こんなことはありえない。俺は上野 麻美の自殺を捜査した、そしたら梶原 智一と富田 勝に連れ去られる目撃情報が入り捜査を続けた結果、何度もあの二人に乱暴されたとあの二人に近い人間から証言を得た。検視官を問い詰めたら白状したよ、上野 麻美からは薬物反応なんて出なかったが大木からの指示で薬物反応が出たことにしろと。胎内に残った体液を梶原のDNAと照らし合わせの結果の揉み消しも命令されたともな。俺はこれを監察官に報告しようとした時、大木に動きを悟られ梶原 誠一郎が先回りして俺はここに飛ばされた、俺が死因を揉み消したと濡れ衣を着せられてな。その時どうでも良くなった…だから俺も上野 奈緒美を見捨てた1人なんだ。俺は何のために警察官になったのかと自問自答し続けたが答えは出なかった。お前らが交通課で頑張ってる姿を見た時、腹の中ではバカにしてた、「飛ばされたクセに」と。
答えが出ないまま過ごしていた時、神崎からコンタクトがあった。
「この街の反社会組織を撲滅させるから協力してれ」と
神崎はおそらく大隈のS、情報提供者だ。公安が良くこの手をつかう、違法組織に潜らせ内部から崩壊させるんだ。公安畑の大隈だそんなもん容易い。
もう正義が何か分からない時、その話に乗っちまった、俺の桜はそこで散って腐ったんだ。
だが散った桜の花を咲かせてくれたのはお前らだった、何者にも縛られずただ実直に正義を貫いた。正直羨ましかった…俺にも相棒と呼べる人間がいたら桜は散らなかったかもしれない。
上野がハマに戻り麻美の遺書も読んだ、そして梶原の悪事を世間に晒す計画を聞いた時、罪悪感から俺もその計画にのっちまった…
やっぱり一度腐った正義は元に戻らない、言い訳になるが梶原を殺すなんて計画には無かった、あったら俺は協力なんてしなかった。だが結果的に知らなかったとはいえ俺は殺人の片棒を担いだんだ…腐った桜、腐った警官だ。
でも俺は上野 奈緒美を救いたい、もっと言えば神崎も救いたい、神崎をSに仕立てた連中から。そして腐った桜をもう一度咲かせてお前らにちゃんと謝りたい。
だが…もし俺がしくじったとしてもお前らは気にするな、正義を遂行する時は余計な感情を捨てろ、ひたすら前を、自分の心にある正義の方向目指して突き進め。
ダメな男、ダメな警察官、ダメな夫で本当に申し訳ないと女房に伝えてくれ
全部託す、頼んだぞ、ハマのヒーローデンジャラスペア
三原 圭
手紙の最後には上野や神崎とやり取りをした連絡先が記載してあった
「なんだよこれ…」
雪もNancyも涙があふれていた
「柄にもなくカッコつけて…バカな人」
三原の妻も必死で笑顔を作っていたが目には涙が溜まっていた
「部長がなんと言っても私と雪は奈緒美と神崎を捕まえます」
「なんの罪で捕まえるんだ」
細野も静かに尋ねる
「仲間を撃った…あたし達の目の前で、これは言い逃れさせない!」
「それを許可するには条件がある」
「なんですか?!」
「上野も神崎も生きて逮捕しろ、そして警察官として帰ってこい、いいな」
雪とNancyは細野に敬礼し三原の妻に頭を下げると
「行ってきます!」
といい病院を後にした
ーーーーーーーーーーーーーーー
ブーブーブー
上野のスマホが鳴った
「もしもし?」
ー奈緒美、そのまま逃げるなら勝手しな、アタシ達はどこまでも追いかけるよー
「ふーん…好きにしたら」
ーもう逃げない、私も雪も覚悟を決めたー
「…そっか…」
ー一緒にいるんだろ?神崎?聞こえてる?ー
「あぁ聞こえてるよ、さっさと国外に出たくてな船が待ってる、残念だがお前らに構ってる暇はないんだよ」
ー凄腕スパイは私らに勝つ自信がないの?ー
「別に、好きに取れよ」
ースパイらしいね、なんでも人にやらせて自分は高見の見物、気持ち悪ー
「ふん、安直な挑発だな…このまま逃げたと思われるの癪だしなら、まぁ乗ってやるか。決着を着けたいなら横浜港の第17倉庫に来い、2対2でケリをつけよう」
それだけ言うと神崎は電話を切った
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