知を以て理を成し、知を以て理を失う 2

三人の男が旅をしていた。

それぞれ名をロード、バンプ、カッツといった。

日々お互いに文句を言いながらもお互いの目的が合致するからとかれこれ五年ほどの付き合いである。

今回は隣の国へと遠征をするために森を超えることとなった。

その森は[魔の森]と呼ばれている。森を通ると必ず魔が差し殺し合いをしてしまうことからそう呼ばれていた。

熟練の冒険者である三人も当然いくつか対策を考えていながらもそれで万全とはいいがたかった。

森に入って三日目、この日もそのことで言い争いが始まっていた。

ロ「てめえ等がもう少し賢ければよぉ、一々確認なんかせずに進めるのになぁ!」

バ「おいおい、自分を棚に上げて他人様に文句ってか?だったらおめえが他に考えろよ!」

カ「全く才能のない貧夫には言うこともないね。第一この策だって僕が考えたものだ。愚かな君たちじゃ思いつきもしなかったろう」

それぞれが口々に騒ぐ中、霧が出てくる。

そのままお互いが見えなくなるほど濃い霧に包まれるも、誰一人として動揺していない。

霧が晴れると三人が三人とも、二人ずつに増えていた。

これが殺し合いの原因なのだろう。偽物が出てきて冒険者を惑わすということだ。

ロードはため息をつくと、腰に携えた二丁の拳銃を構える。

まずはそれをバンプに向けると反応すら出来ない速度で"二人"のバンプを撃ち抜いた。

それを見た"二人"のカッツはそれぞれ声を上げる。

カ1「おいおい、いきなり撃ち殺すなんてどうかしてるだろう!君は一体何がしたいんだ。」

カ2「おや、こんなことになるなんて愚かなロードくんからバンプくんへの嫉妬は限界と見える。こんなやり方をせずともいくらでもやり様はあるだろうに。これだから品性は金では買えないなどと…」

それを途中まで聞いた後慌てているカッツを撃ち抜く。

そして、もう一人のロードへ銃を向ける。当然相手も構えるがそれを見た生き残りのカッツは笑っていた。

こんな面白い絵面があるだろうか、あろうことか後者ロードは手が震えているのだ。

ロ「お前は俺たちを舐めてんのか。この程度の闇討ちでよぉ。」

そして再び乾いた破裂音が響いた。

鳥が飛び、獣も逃げるような音、その後に残ったのは霧になっていく三つの死体。

そして、霧にならず残っているバンプの死体だけだった。

カ「いやぁ、しかし、身なり、手振り自体は良くできた偽物でしたね。随分観察したと見える。」

ロ「それだけじゃ意味ねえだろ、バンプがこのくらいの傷一日立てば治ることくらいリサーチしやがれ。あとお前のクズさもな」

その後更に一日同じ場所で野宿をしバンプは復活を果たした。

起き上がり最初は文句を言っていたが、それもいつものこととすぐ矛を収めた。

お互いの知は血よりも濃くお互いを繋ぐことを三人は誰よりもよく知っているのだった。

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