見られたくないもの
お、来た来たこっちこっち
君の連絡から急いで来てみたら10分も先についちゃうんだから我ながら参ったもんだね
ん?ああ、そうそう待ってる間にだいぶ進めておいたよ。現物があるにせよないにせよやることは変わらないからね。
いや~、久々に頼られるってのもやっぱり嬉しいもんだ。僕と君はベストフレンドだからね。こういうときは助け合わないと。
え?こういうことが得意な君と友達はいやだなんて…またそんな冗談言ってぇ、じゃあなんで何度も頼るようなことをしているんだい。
君が作る、僕が埋める。どう考えたって最強のコンビじゃないか。
あ、ちょっと待ってそのまま触らないで。ちゃんと手袋をつけて、じゃないと薬品が手に着いたとき君も同じ末路だよ。
いつもどこでこんなに薬品を調達するのかって?それは流石に企業秘密なんだけど、まぁ君ならいいか、友達だし。
僕の親父が建設会社の社長だからね。そんでもって親父は俺にゲロ甘だからね。友達と実験の動画でも撮るとかいえば簡単さ。
さてさて、しかしまぁ車の中も汚したもんだねぇ。これは随分と骨が折れそうだ。まぁ今回のは骨折れてないんだけどさ。
君はいつもそうだけどどうして現場は汚すのに本体は綺麗にしておくのが得意なんだろうね。これも素質ってやつか。
僕の友達は流石に才能に溢れてて助かるよ。処理するのに時間がかからないからね。
じゃあそう、そっちを持って切り取るよー。はい、せーの!
それでこっちを水槽の薬に漬けてっと。早めに仕上がった奴は中身を穴に流しちゃって僕の車に積んでおいてくれると助かる。
でもそうやって真っ赤な君が黒く染まっていくのもそそるものがあるよね。
僕としてはずっと見ててもかまわないんだけどそれも普通にまずいからね。着替えは僕の車の助手席にあるからいつもの手順で着替えておいて。
脱いだ服はちゃんと袋に入れて君の車に積みなおしておいておくれよ。
こういうとき大事なのはちゃんと現状のものを元に戻して日常で再使用することなんだ。もちろんきれいに掃除したうえでね。
さてさて、切り取ったパーツも全部綺麗になったみたいだ。この白い滑らかさは僕でもたまに癖になりそうになるね。
君はこれでまた何か作るんだろう?ああ、いいさいいさ、その作るものには興味なんてないからね。
僕は君がどこにたどり着いてどういう結末を迎えるかが知りたいだけだし。そのためにはこんなもの見つかるわけにはいかないってだけだからね。
君が僕をこうしたいってのもちゃんと理解してるし最終的にはそうなるかもってのもわかってるさ。とはいえ君の身近にいるにはこれしかないからね。悲しいね。
まぁお互いの後ろ暗い部分には目をつぶってここを出たらいつもの生活には戻ろうじゃないか。
僕からまた定期的な連絡は送るから既読無視はやめてよね。ちょっと傷つくしちゃんと連絡を取ってないと捜査が入った時困るからね。
後僕ら友達なんだし、たまには遊びに行ったりしてくれるとうれしいよ。
ああ、そんなカッカしないで。あとは僕がやっておくからもう大丈夫だよ。
行っちゃったか。ベストフレンドなのは本心なんだけどな。まぁそれはそれとして穴はちゃんと埋めて帰らないとね。
それに僕の行動経路の穴も塞がないと、おっと、悪い癖が、いけないね。
ついつい楽しくなるあまり余計なことを口に出すものやめないとね。
言葉は金、出すたびに信用を失ってしまうよ全く。
さて今回のベストフレンドの証拠はしっかり写真に収めておいて、と。
たどり着く先は一緒でも違っても、僕らの居場所はずっと同じだよ、マイフレンド。
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