第2話
月の光に照らされた森の中を、フィオラは歩いていく。
「ふぅ……本当に、心地よい月光ですね……」
フィオラは一息つきながら、ふと歩みを止める。
目の前に、小さなうり坊が飛び出してきたのだ。
「おやおや……迷子ですか?」
うり坊はなんだか寂しそうで、フィオラは膝を曲げて問いかける。
「お家はどこでしょうか……そうだ」
何かを思いついたフィオラは、うり坊を抱き上げる。
突然抱き上げられたうり坊は少し戸惑っていたが、やがて落ち着いてフィオラの腕の中に小さく収まった。
「ふふっ、あまり動かないでくださいね」
フィオラはうり坊に囁くと、背中から漆黒の蝙蝠の翼を広げる。
そしてそのまま、森の中から飛び立つ。
森全体を見渡せるほどの高さまで飛ぶと、そのまま滑空し始める。
初めて見る森の景色に、うり坊は目を見開いて衝撃を受けているようだ。
「さあ、あなたのお家を教えてください」
フィオラの意図を理解したのか、うり坊は森を見回していく。
そして、ひときわ大きな木が生えている場所を見て、プギャ、と鼻を鳴らした。
「あそこですか?では行きましょうか」
フィオラは翼を使い、大きな木の方向へ飛んでいく。
白い髪が風を受けてふんわりと広がる。
月光を受けて銀色に輝くその髪は、まるで一つの芸術作品のようだ。
「さあ、着きましたよ」
フィオラが大きな木の下に降り立つとそこには慌てた様子の猪がいた。
「あれは……あなたの、お母様ですか?」
フィオラの問いかけに、うり坊はプギャ、と返事をする。
そして、母猪の方に歩いて行った。
「ふふ、よかったです。これで一安心ですね」
母猪とうり坊はフィオラの方を一瞥した後、森の奥に帰っていった。
「さて……私は一度、屋敷に戻りましょうか」
翼を広げると、再び空に飛び立つ。
そして、屋敷の方向に向かって滑空していく。
夜の少し冷たい風が、フィオラの頬を撫でていく。
フィオラの夜は、より深まっていくのだった。
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