第18話:完全に嘘だった
ドルド国との条約から1年が過ぎていた。
前回とは違い今回は
ダブレの街にドルド王とゾト王子と一部の部族長が
領主の館に訪れていた。
エミリーは この1年でいろいろなものを作った。
旋盤機。ボール盤。鉛バッテリーやアーク溶接。
ジャッキ。プレス機。様々な金属工具。
そして モーターと発電機も。
つまり エミリー側も鉱山を手放すなど万が一にも、
ありえなかったのだ。
◆
ドルド王は 険しい顔になる。
では エミリー殿は 条約を破棄したいと?
ええっ 思ったほど 石炭という物は 使い道がなかったのですの だから
条約は破棄させてほしいと思いまして。(完全に嘘だった)。
ドルド国側は、元はと言えば ダブレ側からの領地の交換の話だった為、まさか
ダブレ側からの条約破棄の話があるとは 思っても居なかった。
ドルド王は、いったん話は打ち切りにし、ゾトに一度は見合いをした二人、
エミリー殿から譲歩を引き出せないかと 二人で会うよう指示をした。
そして 夜の食事会が和やかな雰囲気で行われる中、
ゾトはチャンスを伺うがミランダ殿が
エミリー殿の3m後方にいつでも居る。
ゾトは時折、ミランダ殿と目が合う度、
視線から殺意を感じていた。
結局どうする事も出来ず、ドルド国はダブレから
あの小さな「港を戦争しても奪い取る事」にした。
条約破棄が確定的になるなか、滞在最後の日
ドルド国王と族長達、ゾト王子は
ダブレの領兵たちの訓練に招待された。
兵士たちの一人が見慣れないマスケット銃を持っていた。
ドルドもマスケット銃は持っていた事もあり。
変わった銃ですなー・・・と。
だが 次の瞬間、ドルド王は青ざめた。
500m先の的に何発も命中させている。
そう ダブレはボルトアクションのライフルを
スコープ付で開発に成功していた。
なにか 筒状の物を引くたび 金色の物が排出され連発で撃っている。
それだけではない。
部隊長が大きな音が出ますので ご容赦くださいと言ってきた。
立てかけた筒に何かを入れると
スッポーンっと勢い良く黒い物体が飛んでいく。
次の瞬間 離れたところの地面が爆発した。
それは新兵器、迫撃砲だった。
ダブレは 1年でいくつもの
新兵器を製造に成功していた。
圧倒的な兵器の前で、
ドルド王は、戦争の選択は無くなったと悟った。
◆
結局、この日、ドルド国王は、
この1年で稼いだ金貨の90%と、
また5年間 金貨、12000枚を毎年払う事で、条約を締結。
しかも この時点でダブレ側は、
鉱山に関しては完全にダブレの領土になった。
悔しい思いをした ドルド王国だが 全くの損でも無かった。
ドルドにとっては 5年後 港が、自国領土になるなら
全然 これでもプラスだったのだ。
とっくに族長達のプライドも へし折れていて、むしろ帰りには感謝して
どクズのエミリーと 握手を求めるほどだった。
◆
その日の夜も 街の銭湯に行き、ミランダの前で 仁王立ちするエミリー、
「どうだった ねえ 私、どうだった?。」と アホ面で聞く。
ミランダは
そんな事より 湯船に入ってください 風邪ひきますと。
ガハハハハハハッと 周りの客が振り変える中 バカ面で勝ち誇るのであった。
あのクソ馬鹿 王子 ギッタンギッタンにしてやったわ!。
「エミリーは やはり 超ド級のクズだった。」
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