第12話:経済

利権になっていた 牧畜関連もオニール教団を追い出した

今となってはエミリーに文句を言えるものが

このダブレにはいなかった。



エミリーは 牛や豚、だけでは無く 羊に鶏の取引を始めた。

特に鶏は卵産む為。 

ヒヨコや やや大きくなった個体も市場で卵用・食肉用を問わず販売をした。


特に貧しい家庭で 重宝された。

牛・豚や羊は無理でも 比較的 鶏は安く手に入った。


貧しい家の子にとって 

鶏肉は最強のごちそうになり、 

食べれた家もあった。


◆経済


元 売春婦の女は、陶器詰工場で働き、

少し余裕が出来る度にヒヨコを買ってきた。

小さな息子と娘に大切にするのよと 育てさせた。


鶏は大きくなると卵を産む 

産んだ卵を市場で時折売っては 少しだけだが収入になっていた。


その金で パンとジャムを買う。

子供達は味気ないパンにジャムをつける事が出来る。


兄の方は 漠然としていたが 学童保育の 

そろばんで「経済の循環を感覚的」に感じる事が

出来るようになっていた。


こないだまでは ただ絶望しかなく、

自分の生き方を変える手段も分からなかった。


でも あの変な 新しい領主が来てから、

自分の生活が変化してる事を感じていた。



エミリーは 正直 まだまだ食糧事情は不十分と考えていた。



「鬼の重税計画を目論む」 



どクズの極悪令嬢エミリーにとって、現状は 100点満点で15点くらいだった。



ダブレ全体では 不作の年が一回来れば 

即アウトという 最低レベルの食料事情だ。


今は 利権組から巻き上げたお金で 

海外からの輸入で小麦を買って 誤魔化していた。


とは言え 「うんち買いの奴ら」(肥料買い)の効果が出ようとしていた。 

不作どころか 超豊作になりつつあったのだ。



◆ロマンは 深さ10センチ



そして ついに エミリーは

豚の毛から歯ブラシを完成させた。

それと ついに石鹸も出来上がった。


これよ これ。  

農家で作らせた「ヘチマのたわし」に石鹸をつけて 身体を洗う。


いい。いいわ そう 最高よ!!。 


(今まで転生してきて 脇などを湯で絞った布で拭くだけの日々)。


エミリーは おっさんの様にアグラで 深さ10センチ程の桶に

湯を入れて座り込んだ。


だが なんていうか イメージと違う?。

徐々にエミリーの笑顔が消え、真顔になっていく。 うーーーん・・・?。


何かが足りない。肩まで浸かれない、この物足りなさ。

「そうよ、お風呂よ! 大浴場が必要だわ! ぐぬぬぬ……!!」


風呂を手に入れるのよ!! ミランダぁぁぁっ いつものようにエミリーは 

アホ面で訳のわからない事を言ってる。


まあいいわ 今日の所は桶で我慢してあげるわ。

そして 指で ホレッ 「ここよ」と指さし ヘチマをミランダに渡し 

背中を流すように指示する。



・・・・・・・??。


エミリーは 首をかしげて 裸の私じゃなくて 

服着てる あんたが恥ずかしがって どうすんのよ?。



馬鹿じゃない?



不思議そうに首を傾げるエミリー。だが、ミランダにとっては

「拷問に近い悦び」であった。


耳の先までリンゴのように赤く染め、震える手でヘチマを握り、

ミランダは一言も発せぬまま、必死にエミリー様の背中を流し続けるのであった。

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