第13話:結婚

どうやら 大型の風呂釜には やはり溶鉱炉が必要だった。

現代日本からの転生者のエミリーは 中学生の時に習った 

明治維新後の日本が、最初に「マジ欲しがった物」。 


それは 「溶鉱炉だった。」


「鉄を制する者は 世界を制するのよ!  みらんだぁぁぁぁぁ!」。


木炭でも鉄を溶かせるが 量が限られるのと、

毎回、窯を壊して溶けた鉄を取り出すやり方


それに対し石炭型の溶鉱炉は熱が高く、温度も長時間維持できる。

大量の鉄を作り、取り出せる。多少不純物が残るものの

鉄道のレール。巨大な橋の鉄骨など、


まさに力とは「鉄」と言っても過言ではなかった。







エミリーは、ミランダを領主室へと呼び出した。

「ミランダ。貴方、『石炭』というものを知っていて?」


「いえ 申し訳ありません、どのような物ですか?」


エミリーはミランダに簡易的に 説明した。

「じゃあ、貴方の『ミランダ教』の

情報網を使って、領内で採掘できる場所がないか調べさせてちょうだい」


ミランダ教は、今や宗教施設というより、ただの学校施設だった。

無駄に広いダブレ領内のあちこちに新設された拠点は、

現在25か所。さらに10か所が建設中である。



ミランダが一声かければ、

領内全土の隅々から情報が集まる仕組みが

出来上がっていたのだ。


後日、ミランダは苦い顔で報告に現れた。

残念ながら、我が領内で石炭が採れるという話は聞きませんでした。


だが、普通に学童保育に通ってる、鍛冶屋の息子が、

隣国のドルド国なら土産物や少量での売買なら応じてると教えてくれた。


ミランダは、鍛冶屋の息子から分けてもらったという一塊の黒い石を差し出した。


「隣の国……。別領でも国内ならまだしも、他国というのが厄介ですわね」


普通に 戦争仕掛けてブン取りましょうかしら?。


間髪入れず ミランダは言い返した、


隣の国、ドルド国は 山の民で遊牧民です。


一つの家に必ず最低1頭は馬がいます。 

馬上からの槍の名手であり、しかも近年に就任した新王は 

伝統を破ってマスケット銃を導入させているようです。



まったくダブレでは 歯が立ちません。



困ったわね・・・・。 

じゃあ 王子はいるかしら? 


ハッ 二人の王子と姫が一人です。


分かったわ、じゃあ 「お見合いするしかないわね。」


えっえっえっ 誰がですか?


エミリーは言った。 私よ。 政略結婚よ  フフフフフッ


鏡の前で小さく舌を出して、片目はウインク

自信満々でポーズを取る アホのエミリー。



ミランダは 絶句し 目の前が真っ暗になるのを感じた。

(……結婚? エミリー様が、どこぞの馬の骨と……?)



絶望し 膝を屈する ミランダであった。

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