第10話:蜂蜜と魔女

エミリーは間髪入れず、新宗教「ミランダ教」を正式に発足させた。

まずはダブレの街に、寺子屋のような学習施設として拠点を設置。


当初、オニール教団の連中は

「子供相手のボランティアなど金にならん」

と高を括り、この動きを黙殺していた。


だが、エミリーの狙いはそこではない。

子供たちが算術をこなし、

漫画で文字を読めるようになっていた、


大人たちも「あそこに行けば何か得があるのでは?」

と興味を示し始めたのだ。


利用者は徐々に増え、

気づけば街の15%程がミランダ教の門を叩いていた。


フフフッ ココからよ ボンクラ オニール教団。

エミリーは あいつらが絶対 

許さない蜂蜜の養蜂を密かに始めていた。


そしてダブレの南にある ダブレ領内の港町タミンで 

外国から砂糖も輸入していた。

その砂糖でジャムを作り 安価にパン屋で販売させた。


綺麗な色のオレンジジャムと

ブルーベリージャムが並んでいた。

安価で蜂蜜も販売し街の人達に大人気になった。


当然、利権を侵害されたオニール教団は発狂した。


彼らはパン屋の主人と、

蜂蜜を買ったばかりの女性を路上で捕らえ、声を荒らげた。


「この者たちには魔女が乗り移っている!

そして コレは災いをもたらす不浄のニセの蜂蜜だ!」と


二人は見せしめとして、

無理やり教会へと引きずられていった。

だが 街の民たちは 激怒。


今までだって オニール教団の奴らを 

許せないと思っていた者はいたが、

反抗する者は主だって居なかった。



教団は「誰も逆らわなかったから 何をしても許されると 勘違いしてた。」


エミリーは言った。 

なにをしても許されるのは わたくしだけよ! フフフッ。


馬鹿な奴らね。


今は街の新宗教、ミランダ教に入信した者達には 

オニール教団は ただの敵だった。

従う 理由もなかった。


そして なにより 人間は食べ物の事で 

普通に戦争をする。

生死に直結しているからだ。


オニール教は食品に因縁を付けたのは 不用意だった。 


最初はミランダ教の信者が ブチギレる。

ミランダ教でない者達も後に続いた。


数万人のダブレの民が集まり、オニール教団の教会を取り囲んだ。




そして どクズの極悪領主 エミリー・ヴァレンタインは、


直接 暴動を命令しなかった。 鎮圧もしなかった。 

鼻クソをほじりながら アホ面で眺めていた。 



「領主として フルパワーで放置した。」



三日後、オニール教団は二人を解放し、ダブレ領から出て行った。


フフフッ 計画道理!。 不敵に微笑む どクズの極悪悪女エミリーだった。


(悪党レベル三階級特進よ、クソ馬鹿オニール三倍返しよ、 

これで私はこの街で宗教利権も手に入れたわ)。



アーッハッハッハッハッハーーッ。 



エミリーの笑い声だけが 夜のダブレに響き渡るのであった。


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