第8話:戦国武将もデフォルトよ

ミランダの母は、王都の病院へと搬送された。

母は、そこらの小さい病院ではなく。

エタール王国の最大の病院、エタール総合大学病院に入院していた。


そこで一番の名医が担当していた。 

母は今まで長い間 病気を放置されており、

あまり良い状態とは言えなかったが、手術を受けて当分の命はつながった。


これほどの特別待遇が実現したのは、エミリーが国王エタール5世に対し、

「王都のベッドを一つ、問答無用で空けなさい!」と、

手紙を書き、脅しに 脅しまくっていた 成果である。


ミランダが病室へ入ると、そこは王族や伯爵クラスが使う 清潔な個室だった。



(なぜ? あの毒蛇のようなオーラを放つ女が、このような事をしてくれるの?)


困惑するミランダだったが 久しぶりに会う母。 少しヤツレていたが、

目の前の優しい母の微笑みに ミランダは 張り詰めていた糸が切れた。


そして 母の胸に抱き着き 泣き崩れるのであった。


母のために、己の身を汚して殺し屋にまでなったミランダ。

ずっと官職Bに騙されていた。 悔しかったし 許せなかった。


だが あいつらから全財産をむしり取り、

国外追放にした エミリーは 何者なんだ?。


つかみどころがない、エミリーに ミランダは、

困惑していたが、生涯をエミリーに捧げた身、 

どのような酷い事をされても文句は言えない・・・。


約束は約束。

母の恩もあり、一段落すると

仕方なく辺境都市ダブレに戻るのであった。




ダブレに戻って 二週間が過ぎた頃。 

ミランダは ココに来て初めて エミリーに呼び出された。

館の南側の日当たりのいい部屋に。


ドアをノックし、室内に入ったミランダは絶句した。


「……お母さん!? なんで、ここに……!?」 


困惑するミランダ。 

意味が分からず 母に尋ねる。お母さん なんでココに?。


母は、答えた。 

エミリー様が、あなたと暮らせるようにココに連れてきてくださったの。


母は 苦笑しながら言った。

王都の病院に馬車で迎えに来てくれて、お母さん、

貴族になったみたいで 恥ずかしかったわ。フフフフッ。


ミランダは言葉を失い、ただ静かに涙を流して母の手に触れた。

彼女の心の中に、エミリーに対する「恐怖」とは別の


「微かな気持ちが芽生えるのだった。」



その頃、エミリーは、



だぁーはっはっはっはーー!


「戦国武将だって 家族の人質は デフォルトよ!!!。」


執務室で、鏡に映る自分の「凄まじい悪党顔」に惚れ惚れしていた。


あああああっ 私は 超悪党よ!!!。 どクズな自分に酔いしれる エミリーだった。


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