第5話:聖なる剣

瓶詰工場を作ろうとすると、さっそく問題が起きた。 

この世界では 瓶の口の密閉がうまくいかなかったのだ。


エミリーは コルクと蜜蝋を使おうとしたが、

蜜蝋はオニール教団の専売で、一般には流通してなかった。


最近 オニール教団が 

エミリーと接見したいと、使者が来たが、

会う事は、控えていた。


そして エミリーは蜜蝋は諦めた。


そもそも この世界のガラス製造技術で瓶詰は難しかったのだ。


結局、陶器瓶を作る事にした。陶器ならこの世界でも 

蓋と瓶の隙間を1mm以下にできた。


これなら残りの隙間を油を染み込ませた

皮のパッキンで完璧な封印が可能となった。

食品を沸騰水で加熱し殺菌したら蓋をして針金で封をするだけだった。 


イワシの塩漬け。

シャケの塩漬け。

ピクルスのお酢漬け。


穀物ピューレや

野菜ピューレなど、


どんどん生産した。


これで 野菜や作物が取れない冬の季節に 

お金も無いのに 高価な肉食をしなくて済む。


肉は確かに体力がつくが 

そもそも貧しい者には 肉料理は金銭的に無理があった。 


民が倒れれば、どクズの極悪エミリーの悪魔の計画 


「鬼の重税も夢と消えるのだ」。  


エミリーは フフフッ 完全勝利と 不敵な笑いを浮かべるのであった。

何に勝ったか まったく分からなかったが、 すくなくても売春婦達は 


まともな仕事で子供を育てられるようになったのだ。



エミリーの知らぬ所で 母親たちは、エミリー様は

「私たちを救ってくれた聖女のような人」と 

心の底から感謝されていた。 



その頃、エミリーは 子供達に試したい事があった。 

木工職人達に、「そろばん」を作らせ。

子供達にタダで くれてやった。


母親たちが働いてる間に パズルゲームと嘘をつき 

勝てば 駄菓子を与えた。


エミリーは言う。 

その 「そろばんは あなた達の聖なる剣 エクスカリバーよ!! 戦いなさい」。


足し算 引き算 掛け算 割り算

そろばんでやらせた。


ひと組5人で 戦わせた。

勝利した子供は、あくまで勝負という 

遊びとして楽しんでいた。


だが 本当の意図は どす黒い思惑 


全ては エミリーの為の

スーパー納税ソルジャー 洗脳計画が

着々と進行するのであった。


気づけば エミリーでは

全く歯が立たないほどのクソガキどもが育っていた。


計算の早さ 正確性。 

それだけではなく 自信がつき 

判断力、決断力もついていた。


(算術で負けた事は ちょっと悔しかったが、

まあいいわ 私の下僕ども 今は良い気でいるといいですわ)。


エミリーは気づかぬうちに 将来の建築家。商人。数学者。教育者などを育てていた。




そうとも知らず アホ面で エミリーは 勝利の高笑いをするのであった。 


あっはっはっはっはっはーっ!。


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