第4話 大晦日 夜中 燠火
少女は、びくりと体を震わせると、目を覚ましました。
いつの間にか、眠っていたようです。
体が、半分、雪に埋もれていました。
少女は、慌てて立ち上がると、雪を払い落としました。
少女は、少しぼうっとした様子で立ちすくんでいましたが、突然、自分で自分の頬を、バチンと叩きました。
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寒さの中、私は目を覚ました。
慌てて、雪を払いのける。
危うく、生きたまま雪だるまになるところだった。
頬が、ひどく濡れていた。
溶けた雪のせいではない。
泣いていたのだ。今度は、はっきりと分かる。
私は、夢の中で泣いていた。
部屋を飛び出した時、私は悔しくて泣いていた。
自分の将来や夢が、あんな、つまらない男に左右される現実に絶望し、泣いたのだ。
私に起きたことは、マッチ売りの少女にとっては、夢のような現実の話。
私にとって、マッチ売りの少女は、夢のような現実の話。
私は、マッチ売りの少女と、何も変わらない。
年齢とか、生まれ育った環境とか、世界とか、そんなものは関係ない。
本質は同じ。私は、マッチ売りの少女だ。
だけどね。
いいや、だから、ねえ、マッチ売りの少女。悔しいよね。
このまま、終わっちゃうのって、何だか、無性に悔しくないかい?
私は、泣いていたけれど、腹も立てていたんだよ。
あんたも、そうじゃなかったの?
もう、何もかも、うんざりだ。
こんな、理不尽な扱いに、絶対に負けたくない。
私は、ピシャリと、自分の頬を叩く。
相変わらず、体は、氷のように冷たかったが、体の中心が、カッカッと熱を帯びてきた。
「良いわよ、
絶対、負けないから!」
私は、マッチの代わりに、自分の闘志に火をつけた。
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