第16話 対面研修
そして、研修当日。須藤は、広大の姿をすぐに見つけました。そして、運命のいたずらか、広大と須藤は同じ班になりました。
広大は、須藤のこと知らないのと、面識がないため、普通に挨拶をしました。
麻里は須藤との再会を広大に特に話していないため、広大にとって須藤はただの同じ会社にいる人でした。
須藤は、広大の姿を目の当たりにし、改めて圧倒されました。
須藤(心の声)
(この人か、、長身で確かにジャニーズにいそうなイケメン....)
須藤は、自分の妄想の中で麻里の隣にいた「夫」が、現実に現れたことに激しい嫉妬を覚えました。広大の見た目のレベル差を再認識し、麻里の「夫が好き」という言葉の重みを痛感しました。
須藤は、麻里の夫である広大と、終日対面研修で同じ班になりました。須藤の内心の動揺とは裏腹に、研修は一般的な自己紹介から始まりました。
広大
多田です。今は〇〇課です。よろしくお願いします
須藤
須藤です。今は〇〇課です。よろしくお願いします
須藤は、麻里の夫と同じ場で自己紹介をしたことに、異常な高揚感を覚えました。
広大は、須藤のことを知らないため、何も気にせず振る舞っていました。
広大の印象と須藤の誤解
研修はグループディスカッションが多かったのですが、広大はあまり、というか全く発言をしませんでした。
周りの目から見ても、広大は頼りなさそうな感じの印象でした。実際、広大は仕事ができる方ではなく、コミュニケーション能力も高くないのです。彼は、誠実さと優しさで麻里の心を掴んだのであり、職場での評価が高いわけではありませんでした。
須藤は、その広大の姿を見て、激しく動揺しました。
須藤(心の声)
(え、全然発言しないじゃん。飯嶋さん、こんな人がいいの?)
須藤は、麻里が自分を選ばなかった理由が、自分の過去の態度にあることを忘れていました。彼は、広大が自分より劣っていると確信し、麻里が自分を選ぶべきだったという妄想を強化しました。動画で得た擬似的な優越感が、現実の広大の「弱み」によってさらに強くなったのです。
須藤(心の声)
(こんな顔いいのに声が高くて変...声変わりしてねぇのかよ)
須藤が、研修中に発言しない広大を見て内心で優越感を抱き始めた時、広大の方から話しかけてきました。
広大
あの、須藤さんって〇〇課っておっしゃいましたけど、、もしかして飯嶋さんと木村さんとかいるチームですか?自分、前そこの部署でした
須藤は、自分の妄想の中の競争相手が、ついに麻里のことを口にしたことに、胸の鼓動が早まるのを感じました。
須藤
そうですけど、、
広大
みんな優しくていい人でしたよね、特にあのチーム長とか心広すぎて、
広大は、麻里の同僚たちを褒めることで、須藤との共通の話題を見つけようとしました。彼は、その部署での日々を好意的に記憶していました。
しかし、須藤は嫉妬と優越感から、広大の言葉を素直に受け止められませんでした。彼は、無意識のうちに広大に対して悪い態度をとってしまったのです。
須藤
そうですか?
広大は、須藤の冷たい返答に少し戸惑いました。麻里のいたチームの同僚であれば、普通は広大の言葉に肯定した返しがくるはずだと思ったからです。
広大
え、そんなことないんですか?
須藤
別に皆さん普通ですよ
須藤は、広大の「頼りなさ」が麻里の同僚からも評価されているわけではない、ということを証明したいかのように、わざと冷淡に突き放しました。それは、麻里の夫である広大を、精神的に貶めたいという屈折した欲望の表れでした。
須藤は、広大の優しさや感謝の気持ちすら、受け入れようとしませんでした。
広大
すごく優しい人たちばかりですよ!仕事難しいのに丁寧に教えてくれて、、
須藤は、広大の言葉を尊重せずに、さらに否定的な返しをしました。
須藤
そんなに難しくないし、教え方も別に普通ですよ
須藤は、広大を貶めたい一心で、麻里の同僚たちまでも否定するような態度を取りました。その冷たさに、広大はもう話しかけるのをやめました。
須藤は、研修中に広大を精神的に打ち負かしたような優越感を覚えました。
その日の夜、広大は帰ったら麻里にこのこと話しました。
広大
須藤さんって人、麻里のチームにいる?
麻里は、ついに広大が須藤と会ったことを知り、内心ヒヤリとしました。
麻里
うん、広大の代わりに異動した人で、、私の大学の同級生だったの
広大
そうだったんだ!すごい! で、みんないい人たちでしたよね?と話しかけてみたんだけど、そうですか?てかえってきて、、 そうですよねって言ってくるはずと思ったのに、、
広大は、須藤の不自然な態度に疑問を感じていました。
麻里
え、まぢで?
麻里は、須藤が広大に対して、自分にしていたような冷たい態度をとったことに驚きました。
そして、広大が須藤の態度に不審感を抱き始めていることに、過去に須藤から酷い態度を取られていたなどがバレるかもしれないという強い不安を感じました。
須藤は、終日研修で広大の**「頼りなさ」**という弱点を見つけましたが、部署が全く違うため、広大と絡むのはこれっきりとなりました。須藤の頭の中では、広大の頼りなさというイメージだけが、麻里への執着を強める燃料となりました。
麻里は、広大からの報告を聞いた後も、須藤との複雑な過去を広大に打ち明けませんでした。彼女はただ、須藤のことは気にしないようにしていました。これが、広大との平穏な生活を守るための、麻里の唯一の防御策でした。
麻里さんが頑なに距離を取る態度に、須藤の心は疲弊していきました。
須藤(心の声)
(なんでこんなに冷たいんだ。俺のことを好きだった時期があったのに、どうして振り向いてくれないんだ)
須藤は仲良くしてくれない麻里に対し、だんだん辛くなっていきました。
しかし、須藤の麻里への執着は、彼を仕事へと駆り立てました。彼は、麻里が担当していた運用業務を懸命に覚えようとしました。
仕事は頑張りました。須藤は彼女の運用の仕事を引き継ぐのに、ちゃんと聞きました。
須藤は、真面目に仕事に取り組む自分の姿を見せれば、麻里が振り向いてくれるかな? といった淡い気持ちを持ちながら、麻里に接していました。彼の行動のすべてが、麻里を振り向かせるためのアピールになっていたのです。
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