第11話 OB会参加、サークル同期の影

OB会の誘い

須藤が部署に入ってきて数日後。

麻里のスマートフォンに、大学テニス部の同期、美緒からメッセージが届きました。

美緒は、イベントの度に誘ってくれる同期でした。味方なのか敵なのかよくわからない同期...


美緒

麻里久しぶり。今年はOB会行かない?先輩たちに会いに行こうよ


麻里の代のテニスサークルの女子の同期は

麻里、美緒、麦、あすか

麦とあすかは麻里のこと嫌いでハブったり意地悪していました。美緒も仲間に入れるように特に二人に言ってくれたわけではないですが

美緒は誘ってくれてたのです。


「友達といっていいのかな」という微妙な関係でしたが、美緒からの連絡に麻里は少し心が動きました。


麻里

考えとくね


麻里は、須藤は来るかは知りませんでしたが、あの須藤の性格ならこないだろうと勝手に思っていました。飲み会嫌いだったし来ないよね?と思ってました。

麻里は同期全体は嫌いだが先輩たちは好きだったのです。


その夜、麻里は夫の広大に、OB会の話を持ちかけました。


麻里

ねえ、テニス部のOB会があるんだけど、行ってもいいかな?


広大

全然いいよ。ストレス解消になるなら、行ってきなよ


広大のあっさりとした返事に、麻里は安心しました。


麻里は、須藤が来ないだろうという予測と、広大の許可を得て、OB会に行くことにしました。


OB会当日


OB会当日。麻里は、広大とのデートではない、久しぶりの「昔の仲間との集まり」に、少し気分が高揚していました。


会場に着くと、何人かの懐かしい先輩や同級生がいました。美緒と挨拶を交わし、和やかな雰囲気で会話が始まりました。


麻里が、周りの人に結婚したことを報告していると、会場の入り口から、ある人物が入ってきました。


クールな表情のまま、須藤凌一が立っていたのです。


麻里

(嘘……。なんで、須藤くんが……!)


須藤は、周りの目を避け、麻里の姿を探すように会場を見渡していました。そして、麻里と目が合いました。


OB会での視線と回避

OB会が始まると、麻里は須藤に寄りつかないようにしていました。なるべく彼の視界に入らないように、美緒や他の同級生と話すようにしていました。

一方、須藤はずっと麻里を探して、ずっと麻里を見ていました。彼のクールな表情の裏には、麻里さんへの強い未練と、話しかけたいという衝動が渦巻いていました。

宴会中、麻里は美緒と、久しぶりに会った周りの男子に絡まれ、和やかに話しました。麻里は結婚指輪を外してはいませんでしたが、周りの男性陣はそれには気づかず、当時の同級生として話を楽しんでいました。

須藤は、麻里の様子を見て、**「麻里に避けられてる?」**とすぐに気づきました。彼の心は焦り始めます。


帰路での引き止め

宴会も終わり、「次はみんなでカラオケ行こう!」という流れになりました。

麻里は、このまま須藤と二人きりになるかもしれない状況を避けたいと考えました。須藤の友達の山田くんにカラオケに誘われましたが、麻里は「ごめん、もう帰るね」と断って、すぐに帰ろうとしました。

麻里が駅に入ろうとした、まさにその瞬間でした。

背後から、強い声と共に腕を掴まれました。


須藤凌一でした。


公園での謝罪

駅に入ろうとした麻里さんの腕を掴み、引き止めたのは須藤でした。


麻里

須藤くん?何?


須藤

飯嶋さん、、近くの公園で、、話がしたいんだ、、


須藤の真剣な、しかしどこか必死な眼差しに、麻里は拒否することができませんでした。


麻里

...わかった


二人は、静かな夜の公園へと向かいました。昼間の賑わいとは違い、今は人気もなく、二人の間に重たい沈黙が流れます。

須藤は、ベンチに座るなり、麻里の顔をしっかりと見つめました。そして、長年抱えてきた後悔を口にしました。


須藤

大学の時は本当にごめん。ひどいことたくさん言った。。 特に最後なんか、、


麻里は、その言葉を遮らず、ただ静かに頷きました。


麻里

、、、うん。


須藤は、一度話し始めたら止まらないように、畳み掛けるように本心を吐露しました。


須藤

あんなことしてたのは、、飯嶋さんのことが実は好きだったんだ。 みんなから気持ちがバレてて恥ずかしくて、、素直になれなかった


麻里さんは、当時の自分の傷と、須藤が抱えていた葛藤を重ね合わせるように、再び静かに頷きました。 


麻里

、、、うん


須藤

ずっと謝りたかったんだ。。 卒業してから、ずっと後悔してた


須藤の目には、懺悔の色が浮かんでいました。麻里にとって、これは広大と出会うまで、ずっと心の奥底に封じ込めていた「辛い思い出」の核心でした。


許しと、恋人の質問

公園のベンチで、須藤は長年の後悔を麻里さんに告白し、謝罪しました。麻里は、その言葉を聞いて、意外な返答をしました。


麻里

もういいよ


須藤は、その言葉の意味をすぐに理解できず、縋るように尋ねました。


須藤

もういいって、許してくれるの??


麻里

許すも何も怒ってない。。


麻里は、須藤の言葉が心に深く突き刺さっていたのは事実ですが、それは広大と出会う前の、過去の辛い思い出として昇華されていました。今の麻里には、広大という愛する夫がいたからです。

麻里の意外な返答に、須藤は安堵しつつも、麻里への未練を隠しきれませんでした。


須藤

飯嶋さんって、彼氏とかいるの、、?


須藤は、麻里の薬指の指輪にはまだ気づいていないようでした。この質問は、彼にとって、麻里との関係をやり直せるかどうかの、最後の確認でした。


須藤の「彼氏とかいるの?」という質問に、麻里はもう隠す必要はないと、はっきりと伝えました。


麻里

結婚してるよ


その言葉に、須藤の顔から一瞬で色が失せました。彼は、麻里の薬指を見てはいませんでしたが、麻里の口から出た事実に、大きなショックを受けました。


須藤

え???


須藤は、ショックを受けながらも、なんとか言葉を絞り出しました。


須藤

そっか、、


そして、須藤は長年の後悔と、今、この瞬間まで抱いていた微かな希望を、最後の質問として麻里にぶつけました。


須藤

あのさ、その人いなかったら、、俺とは付き合ってくれた??


この質問は、須藤が長年苦しんできた**「もし、あの時素直になっていたら」**という、過去への未練そのものでした。


須藤の「その人いなかったら、俺とは付き合ってくれた?」という核心的な質問に対し、麻里は少し迷いましたが、正直な気持ちを伝えました。


麻里

須藤くんとはは付き合ってなかったと思う


須藤は、予想外の返答に、一瞬言葉を失いました。


須藤

え、、


麻里は、広大と出会う前の、あの辛い時期を思い出し、しっかりと須藤に向き合いました。


麻里

ひどいこと毎回言われてた。傷ついてたから、、


須藤は、自分の勝手な意地と臆病さで、本当に好きだった人を深く傷つけ、結果として未来を失ったことを悟りました。


須藤

、、、


須藤は何も言い返せず、俯きました。麻里は、これ以上彼に未練を持たせるべきではないと考えました。 


麻里

もう気にしないで、同僚になったんだから、さ、帰ろ


麻里は、今の幸せな生活を守るため、きっぱりと線を引きました。


須藤はもっと麻里といたかったのに、「帰ろう」と言われ、ショックを受けました。彼の、麻里とやり直したいという淡い期待は、麻里の過去の記憶によって、完全に打ち砕かれたのです。


OB会からの帰路、麻里からの決定的な言葉を受け、須藤は打ちひしがれていました。


須藤(心の声)

(俺のせいで、飯嶋さんを深く傷つけてしまった。だから、今の飯嶋さんは俺を拒絶するんだ


家に帰った須藤は、ベッドに倒れ込み泣いてしまいました。それは、過去への後悔と、今の麻里の存在を失ったことへの痛みでした。

しかし、その感情はすぐに、ある種の決意へと変わりました。


須藤(心の声)

(またこの人が好きだ。飯嶋さんの隣にいるのは、俺じゃないといけない。夫がいたって、元々自分のこと好きだったんだし、また俺のこと好きと思ってくれるよね?? なんとかして飯嶋さんを振り向かせたい……)


須藤は、麻里の「もう気にしないで、同僚になったんだから」という言葉を都合よく解釈し、麻里をなんとかして振り向かせたいと、危険な考えを抱いていました。

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