第9章: 愛の証【前編】
悠斗は心の中で、ある決意を固めていた。過去の自分と向き合う覚悟を決め、阿部に頼ることを決めた。しかし、それだけでは足りなかった。二人の関係は、ただの「支え合い」だけでは進んでいかないことを、悠斗は理解していた。恋愛は、支え合うだけでなく、互いに歩み寄り、感情を育てていくものだ。
そのことを考えながら、悠斗は放課後、阿部と待ち合わせをしていた。今日は、二人にとって大きな一歩を踏み出す日になるかもしれない。悠斗は少し緊張しながらも、心の中でその時が来たことを感じていた。
いつものように学校を出た二人は、並んで歩き始めた。だんだんと静かな夕暮れの中、街灯が点り始め、二人の足音だけが響く。悠斗は何度も話しかけようとしたが、言葉がなかなか出てこなかった。こんな時、どうしても阿部に対して、何か特別な気持ちが湧いてくる。
「阿部、今日は少し…話したいことがあるんだ。」悠斗が意を決して言った。
阿部は歩みを止め、悠斗をじっと見つめた。「うん、何かあったの?」
悠斗は少し顔を伏せ、言葉を探しながら続けた。「僕、今まで君に頼りすぎていたかもしれない。君がすごく優しくて、支えてくれることに甘えていたと思う。でも、これからは、僕も君にもっと返していきたい。お互いに支え合う関係でありたいと思ってる。」
阿部は少しだけ微笑み、「それなら、僕も嬉しいよ。君がそう思ってくれることが、僕にとって何よりも大事だ。」と答えた。
悠斗はその言葉を聞いて、心が少し軽くなった。しかし、まだ心の中には、どうしても伝えきれない気持ちがあった。自分がどれだけ阿部に対して特別な感情を抱いているのか、それをどう言葉にすればいいのか。
その時、阿部が少し距離を縮めて、悠斗の目を見つめた。「悠斗、僕も君に伝えたいことがある。」
悠斗は驚いたように顔を上げ、阿部を見つめた。「なに?」
阿部は少し恥ずかしそうに笑いながら言った。「実は、僕、君のことが好きなんだ。最初は、君がどんな人なのか分からなかったけど、君がどんどん僕の中で大切な存在になっていった。だから、君にもっと近づきたいし、君のことをもっと知りたい。」
その瞬間、悠斗の胸は高鳴った。阿部が自分に対してそう思ってくれていることを、改めて実感できた。悠斗は少しだけ口を開いたが、言葉がうまく出てこなかった。
「僕も、阿部のことが好きだよ。」悠斗はようやく、思っていることを口に出した。「君と一緒にいることで、毎日がすごく幸せだって感じる。」
阿部は嬉しそうに微笑み、その手をゆっくりと悠斗の肩に置いた。「じゃあ、これからはお互いにもっと素直に向き合っていこう。恋愛って、お互いを理解し合って、支え合うことだと思うから。」
その言葉を聞いた悠斗は、阿部の手の温もりを感じながら、少しだけ深呼吸をした。そして、ついに自分の心の中で、これから先の二人の関係をどう進めていくべきかが、はっきりと見えてきた。
「ありがとう、阿部。君がいてくれることが、どれだけ大きな支えになっているか分からない。」悠斗は目を閉じて、少しだけ感情がこみ上げてきた。「これから、僕も君にもっと素直に、そしてしっかりと向き合っていくよ。」
阿部はその言葉に優しく頷き、少しだけ間を置いてから言った。「僕も、もっと君に頼らせて欲しいし、君と一緒にいることで、もっとお互いに成長していきたい。」
悠斗はその言葉を聞いて、もう一度胸が熱くなった。これからの二人は、ただ支え合うだけではなく、共に成長していく関係になっていくのだと思った。それが、彼にとっての「愛の証」になるのだと。
二人はその後も少しだけ歩き続け、静かな夜の街を二人きりで歩く時間が、何とも言えない温かさで包まれていた。過去の不安や恐れは少しずつ消えていき、今はただお互いに対する思いが強くなっていくのを感じていた。
「これから、どんなことが待っているのか分からないけど、僕は君と一緒に進んでいきたい。」悠斗は、無意識のうちにそう言っていた。
阿部はゆっくりとその言葉を噛みしめるように聞き、しばらくしてから、しっかりと答えた。「僕も同じだよ。どんな困難が待っていても、君と一緒なら乗り越えていける気がする。」
その言葉に、悠斗はもう一度微笑み、手を差し伸べた。阿部はその手をしっかりと握り返し、二人はそのまま歩き続けた。未来はまだ見えないけれど、二人ならきっとどんな困難も乗り越えられる。そして、これからどんな形で愛を深めていくのか、その一歩一歩を共に歩んでいくことを、心から信じていた。
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