Log: 01 [ 盲点の補完 ]
Subject: User (You)
Target: 網膜 (Retina) / 視神経乳頭
Status: Vulnerability Scan (脆弱性スキャン)
君は、自分の見ている景色に「穴」が開いていることに気づいているか?
比喩ではない。物理的な「穴」の話だ。
君の眼球の奥、網膜から視神経が脳へと伸びる接続点(視神経乳頭)には、光を感じる細胞が存在しない。
カメラで言えば、センサーの一部が欠損している状態だ。
したがって、視野の中には必ず「何も見えない領域(マリオット盲点)」が存在する。
信じられないなら、今ここで証明しよう。
これは思考実験ではない。君の身体を使った「実証実験」だ。
【実験手順】
1. スマホを顔の正面、30cmほどの距離に持つ。
2. 左目を手で隠す(または閉じる)。
3. 右目だけで、左側の「★」のマークをじっと見つめる。
4. ★を見つめたまま、スマホをゆっくりと顔に近づけたり、遠ざけたりする。
(右側の「●」が、視野の端で消える瞬間があるはずだ)
★ ●
どうだろうか。
ある距離で、突然「●」がフッと消滅したはずだ。
それが君の視界に空いている「穴」だ。
だが、ここで最も恐ろしいのは「●が消えたこと」ではない。
「消えた跡地」に何が見えたか、だ。
黒い穴は見えなかったはずだ。
代わりに、スマホの「背景の白」や「周囲の文字」が見えたのではないか?
おかしいではないか。
そこには細胞がない。映像データは存在しない。
なのに、なぜ「背景」が見える?
脳が捏造したからだ。
脳は、見えない穴の周囲の情報をコピーし、勝手にテクスチャを貼り付けて、穴を埋めている。
Photoshopの「修復ブラシ」と同じ処理を、君の脳は常時行っているのだ。
君が見ている世界は、ありのままの現実ではない。
脳が勝手に塗り絵をして、都合の悪い穴を隠した「修正画像」に過ぎない。
では、問おう。
もし、その「盲点」の中に、見せたくないモノが立っていたとしたら?
脳が「背景の壁紙」を上書きして、それを消しているとしたら?
君が一人だと思っている部屋。
その視野の隅の「穴」の中にだけ、ずっと誰かが立っている可能性を、君は否定できるか?
// 削除プロセス実行中...
// 対象:検体No.1048 (Failed)
削除: 空間認識キャッシュ.tmp ... [完了]
削除: 視覚補正ログ.dat ... [完了]
削除: LINE_History_J.bak ... [失敗]
-> エラー: ファイルサイズが異常に肥大化しています。
-> 解析: 未送信のメッセージが 4,812件 蓄積されています。
-> 強制削除を試行しますか? (Y/N)
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// 警告:接続が不安定です
// 当該アーカイブの続きを受信するには、手動での【フォロー(+)】による同期維持が推奨されます。
// ※フォローがない場合、貴方の端末は「セーフモード」へ強制復帰し、二度とこのエラーログにアクセスできなくなる可能性があります。
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