第13話 再開
俺はオーガアニキから何としても1秒でも生きるために必死に走っているのだが、この世界に来て天は俺に味方したことがあったか?いいや、1度もない!! ほんとクソ喰らえみたいな世界だ。
必死になって走っていた俺だが、先程根っこに引っかかりそのまま顔面だいぶ。足を少し捻ったのか思い通りに動かないが、オーガアニキは徐々に俺に近づいていく。
怖い、怖い、怖い、怖い。
動けよ!! 動けよ!! 足を手で動かして無理やり動かそうとするが強烈な痛みが足に走る。
そんな時、オーガアニキによって木々がなぎ倒されついにオーガアニキの顔が月明かりによって現れた……。身長3m程、オーガ同様2本の牙が下の歯から生え、何やら金棒みたいなものまで持っている。
だが、こないだのオーガと違い何が黒色のオーラが出ているように感じる。
もう、終わった……。
全身の力が抜け、逃げることさえも諦めてしまう。それほどまでの恐怖におかしくなった俺は何故か笑みが出てくる。
「ここまでか……。もう、終わりか……。」
「あああああああああああ!!」
オーガアニキが叫びながら金棒を横一直線に振るうと俺の頭ギリギリを捉え周りに生えている木々全てなぎ倒された。オーガアニキはおもちゃでも見るような顔で俺の事を見ながらニヤニヤとしているのが伺える。
「2回目でも死ぬのって怖いな。ははっ。もう終わりだな。」
「フラツシュライト!!」
「「!!」」
声とともにここら1面眩しい光が一瞬でて目が開かない状態にされた。
俺は右手で目を擦るが全く前が見えやしない。そんな時左手を捕まれる感覚がする。
「武蔵、早くこっちに!!」
「?! シア!! 足を怪我したから俺のことは置いて」
「バカ言わないの!! このぐらいならおぶればいける。ちょっと待って!! よし、これでOK!! まだ森から出られないんでしょ!! 冒険者が助けに来てくれたからそれまで逃げるよ!!」
「あっ。ありがとう……。」
俺はシアにお姫様抱っこをされそのままどこか移動させられるが、マジで恥ずい!!
普通なら逆がすることだよね。見たことある? 女性が男性をお姫様抱っこをする姿!! あああ!! 頭が少しずつだけど回ってきた!!
なんだか、頭が回ってくると、涙が……。涙が……。
俺はお姫様抱っこされながら涙を零しているが森の中は月明かりがあまり無いので泣いたことはバレなかった。
「シアどうする? さすがにオーガアニキは勝てない。」
「多分あれはギルマスしか倒せないから、急いで知らせて倒してもらうしか無さそうだね!!」
「シア達は武蔵と一緒にいてー。私がギルマスに伝えてくるー。市民を守ってるとか言ってたからどうせ門番の近くにいるでしょー。」
「念の為私のついて行くね!! シアとユイは武蔵と一緒に逃げて!!」
「分かった。フラッシュの時間ももう終わる頃だからこれから本気で逃げないと。確か武蔵は魔物の場所がわかるんでしょ。早く教えて!!」
「オーガとゴブリンとの区別がつくようになったので種族と敵の数を言っていきます!!」
「頼む。」
俺たちはそこで二手に別れどうにかオーガアニキから逃げることができたと思っていたが、
「おおおおおおお!!」
オーガアニキの雄叫びが結構離れているはずなのに相当聞こえ俺を抱えているシアも少し怯えているのが手の感覚で伺える。
「ユイ、足止めはまだできそう?」
「正直いってもう無理。フラッシュも学習してるだろうし、近づいたらもう終わり。」
「確かここはすぐに街まで行けたはずだよね!! ギルマスが来るまでもう少しだけだから。武蔵もそれまで諦めないで!!」
「ああ。」
?!
抱きかかえられながらうっすらと目が開いてきて視界を確認していると先程と少し似ているような光が一瞬だけ目の前を通る。
いや、これは全体というよりかは光が一瞬過ぎ去ったような、もしかして、あれが本物のボス?!
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ!! あああああああああああ!!」
「?! ギルマスが、ギルマスが来てくれた!!」
「さっきの閃光はギルマスか。さすが元Aランク冒険者。オーガアニキなんて楽勝だろう。」
俺は慌ててマップを見るが確かに今までオーガアニキと思われる場所から生命反応が消えている。いや、それだけじゃない!! オーガアニキがいた近くから魔物が一掃されている。
あれがギルマス……。
「ここらで休憩しよっか。武蔵、敵は?」
「近くにも遠くにもほぼいないから大丈夫そう」
「ありがとう。ふぅ。」
俺は木に寄りかかる感じにさせられ、そのままユイが目の前までやってきた?
「ちょっとした回復魔法だけど。 キュアキュイーン」
俺の痛みが走る部分に緑色の魔法陣を当ているとだんだん痛さが無くなり魔法陣が消える頃にはほぼすっかり痛みが無くなった。
「ありがとう。ユイ。」
「いいってこと!! それにしても、ごめんね。少し疑っちゃって……。」
「それは、みんなのことを思って!!」
「ユイ、大丈夫。武蔵は分かってくれてるから。」
「ありがとう。」
「よし、私達はもうクエストも終わったから街に帰るけど、武蔵は帰れないんだよね……。」
「うん、スキルの効果で。」
「それなら、私たちも今日は野宿でもしちゃう?」
「シア、さっさと帰って寝るよ!!」
「もう!! 意地悪なんだから!!」
「ふふっ。」
さっきまで本気で死ぬなんて思っていたのに今こうして笑えることなんだか嬉しくて笑みがこぼれちゃう。
本当に生きててよかった。お金がある程度余裕ができたら絶対に恩返しということで何かしらご飯でも奢らせてもらわないとね!!
「じゃあ、ぼちぼち冒険者帰ってるから、私たちも帰るね。」
「街に帰ったら顔見せな。」
「うん。ありがとう。」
シア達も別れ俺はひとりぼっちになるのだが、なんだか今まで別れた以上に1人になることの寂しさを感じた。
こんな真っ暗の中に1人でいたことさえ忘れていたよ。いつかパーティーでも作ってさっきみたいにわいわい楽しみながら冒険したいな……。
ピロン!!
25件目!!
私がいるじゃないですか!! さすがにオーガアニキが出た時は死んだと思いましたが生きていて本当に良かったです。やっぱり私がさずけた自宅警備員は相当役に立ってる模様ですね。そうじゃなければその前に死んでましたからね。少しは感謝してくださいね!!
俺は何度もメールを破ることを想像しながらマップで見た魔物と反対方向に歩いて向かう。
先程の恐怖のせいか全く眠くは無い。今日は生き延びれそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます