第10話 モンスタースタンピード発生?!
「随分変わった倒し方だね……」
「武器を持たずにこんなところにやってくるなんてほんと無頓着。どうかしてる」
「まぁ、まぁ。倒したんだし、少しは認めてあげなよ!!」
「ふん!!」
なんだアイツ!!
とりあえずゴブリン2匹を倒したが、武器などを使わず拳で倒したということで少し変な顔で見られてしまった。
武器を買うかねすらねぇんだよ!! と本気で叫びたくなったが、これ以上厄介事には巻き込まれまい!! と最後のストッパーが発動し、何とか踏ん張ることが出来た。
よし、これでこのパーティーとはここでおさらばだ。
特に俺に冷たかったユイとは金輪際合わないことを願うのみだ。
「じゃあ、俺はこの後も少しこの森で散策してるから、お先にどうぞ!!」
「うっうん。何かあったらすぐに逃げ出してくるのよ。」
「「バイバイ!!」」
心配そうに別れを告げたシアと陽気で手を振ってくれたユーリとリア、そして最後まで睨みつけてきたユイとそこで別れる。
彼女たちは森の出口に向かって歩き出したのでのでこのまま街に帰るのだろう。俺と違い夜の森の恐ろしさを知らなくて住むコースですね。
ほんと羨ましい!! と思いながらゴブリンを収納魔法にしまいつつマップを見て魔物を見ているが……。
見ているのだが……。
?!
「モンスタースタンピード?!」
「「?!」」
「ちょっとどういうこと!!」
「えっ。」
「どういうことよ!!」
いまさっき別れたシアが振り返り俺に向かって返答するが、先程までの顔と違い、怒り、焦りなどが見られた。
「しっシア!! 落ち着いて!! シアの事情はわかるけど、モンスタースタンピードなんて怒るはずないでしょ。だってここにはダンジョンがないんだから!!」
「あっ。そうよね……。ごめんなさい。聞き間違いをしてしまったみたい……。」
苦笑いしているが全く隠しきれていない。
「いや、私も聞こえた。どういうことか1度説明してもらおうか。もし無視をするというのならあなたのことをギルドに突き出すつもり。」
ユイがパーティーの後ろの方からそういいながら武器を構え俺のことを凝視しだした。
ヤバい、これは逃れられない。全てを打ち上げるか? と一瞬考えたが答えはNOだ。
転生者ということがバレしだいこの国でどういう扱いを受けているのか現状わかっていない。もしかしたら実験材料にさせられる可能性もあるし、俺のスキルは難癖がありすぎて絶対に捕まったら逃げられないだろう。
いや、待てよ。女神が眷属がどうとか言っていたということは信仰があるということだ。信仰している女神から信託が……。
ダメだ。それこそ聖女などのレベルしかなどとなっては終わりだ。
どうやって打破すべきなのか?
ヤバい!! ユイのやつますます怪しんでる上に本気で武器を握り始めた!!
どうする!! 本当にどうする!!
使えない頭をフル回転させるが何も思い浮かばず、ただただ時間が過ぎ怪しまれるだけになってしまってる!!
俺は唾を飲み、瞬きをすると目の前に刀の先が出現し驚きのあまり尻もちを着いてしまう。
尻もちを着いた俺に対しユイは首元に剣をかざし高圧的な態度を取っている。
「言い訳せずに終わるとはな。」
今まで助けてくれたシアさんも彼女の後ろで少しだけ怪しそうな目で俺のことを見ている。
俺の旅はここまでか……。
ピロン!!
俺は手紙ボタンを押そうとするが
「何をする気だ!! 動くんじゃない!! 命が惜しくないのか!!」
と言うが俺はそのままメールボタンを押す。
22件目
この子達に話すしか無いでしょう。仕方ありません。転生者とばれたところで変なことになるということはありませんのでご安心を。
無実を証明し早くスタンピードを止めなさい。このままだと本当に不味いことになりますよ!!
「あの説明したいのですけど剣を退けてもらってもいいですか? 逃げたところで俺の実力はわかってると思いますので」
「冗談じゃない。殺されたくなければさっさと話な!!」
後ろのパーティーメンバーも頷いているのでこのまま言うしかないんだろう……。
本当にこの世界に来てからついてない。はぁ。説明するか
「えー。女神に召喚された転生者という存在を知ってると思いますがそれが俺です。その特典として近くのマップ。そしてとあるスキル発動時に敵の位置がわかるというものがあるのでそれでとあるところから敵が溢れ出ていることが分かりそれでもしかしたらモンスタースタンピードじゃないかな? と思いまして……。あっ。その影響でこの森から今は出ることができないんです。明日のお昼頃ぐらいまでですかね……。」
「お前舐めてんのか!! 何が転生者だ。お前みたいな弱いやつが転生者な訳ないだろ!!」
「本当です!! どう証明したらいいか分かりませが本当なんです!! ひぃ!!」
「ユイ、ちょっと待って。もし彼が言ってることが本当だったらどうする? ここは試してみない? 敵の位置がわかるなら当ててもらおうよ。それで合っていればスキルを信じる。間違っていれば傭兵に突き立てる。これでいいんじゃない?」
「シアが言うなら!!」
ユイは勢いよく剣を腰にある鞘にしまうが勢い良すぎてほんと一瞬切られた?って思うほどだ……。
首の皮一枚繋がって良かった……。本当に良かった……。はぁ。
「それで魔物はどの方角から来ているの? それと敵の総量は?」
「ここからだと左から数は少し待ってください。」
えーっと。マップを大きく広げて、1、2、3、……。
おいおい、嘘だろ。
「多分100体以上かと……です。」
「えっ。」
「魔物の大群100体以上がこっちに向かってます!!」
「みんな戦闘体形とって、後どれぐらい離れてる?先頭から!!」
「500m程先に大群が向かってます!!」
「バカは休み休み言え。そんなこと……。いや、もしかして……。」
魔物たちの歩き音がドンドンと徐々に大きく聞こえてきて俺は気づくとそこから動けなくなっていた。
地面に座っている俺には魔物たちがそう移動しているが故に地面が揺れているのを感じ取れるがこれは無理だ。
あの街は崩壊だ……。
ユーリが地面に手を当てると顔色が一気に真っ青になる。
「本当に魔物の大群が来るよ。このままこの森にいたら死は免れないね。早く出口に向かうよ!!」
「あっ。ほら、早く立って逃げるよ!!」
シアに無理やり立たされ手を引かれながら俺は今までに感じたことがないぐらいの寒気が身体中から感じ取った。今回は本当にヤバい。殺される。
だが俺はそんなことも分からず自宅警備員を発動してしまった……。
もう、終わりだ……
「やっと出口!! 早くみんなに知らせないと!!」
「武蔵早く走って!!」
「俺は……。」
「武蔵!!」
「?! きゃぁぁ」
シアは俺の手を引きながら出口を出たが俺は森の謎のバリアに阻まれシアの重心がずれ俺の手を離して光がある方へ転んでしまった。シアの仲間がシアと俺を見るが俺はこの森から絶対に出られない……。
シアが立ち上がり俺の手を引くが俺の手はやっぱりこの森から出られない。
「嘘!! なんで!!」
「これもスキルの効果なんです……。今までありがとうございました。」
「武蔵!!」
「シア!! 早く助けを求めに行くよ!! 武蔵のためにも!!」
「でも!!」
「シア!!」
「行ってらっしゃい。」
「必ず助けに来るから!!」
シアはそう言って走って街へ向かった。
俺の所まではまだ魔物はやってきていないし、結構バラけている。とりあえず、木に登って息を潜めるしかないか……。今日も徹夜か……。
相変わらず寒気と震えが止まらない。死にたくないな……。
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