第4話 街に行きたいが……
「やっと着いた。」
昨日ゴブリンに追われながらやってきた森の端まで戻ってきた俺は自宅警備員スキルを選択した状態で「解除。」と言い、本当に解除されたのかという確認で昨日壁があった所に手を当ててみるが解除されていなかった……。
やっぱり女神を信用してはいけないみたいだ……。
「はぁ。味方は誰1人いないのか。」
そんな言葉がボソッと出たところでピロン!! と女神メールの音が鳴る。
11件目
あと少しで24時間経つからもう少しだけ待っていてください。多分魔物たちもやってこないと思います。
……。
ということでここでしばし待つ間に自分のことを色々と確認することにする。
スキルは、マップと自宅警備員のみ。レベルは未だに1のまま。
自宅警備員のスキルは24時間ステータスが上がる代わりにその土地から出られない上に解除しないと一生出れないっと。
あと、ゴブリンの棍棒攻撃は死ぬほど痛い。
というところだろう。自宅警備員を使ってもなおゴブリンに勝てる気がないということは多分レベル上げは当分先になるだろう。
どこかの街で剣でも買えたら行ける可能性は出てくるがそもそも魔物を倒していないので換金するものもなく絶望的……。
待てよ。ということは街に着いたとしても宿屋に止まれず裏路地で寝ることに。魔物という脅威はないが人から襲われる。
おいおいおい、さすがに詰みゲーじゃねぇか?
女神様、どうせ見てるんだろ。なにか解決策でもくれよ!!
ピロン!!
おっ。今回は色々と重なったから期待できるか?
そう思いながらメールを開くが期待した自分を殴りたくなったのであった。
12件目
24時間経ちましたのでもう出れますよ。それと、解除と言葉を発しても解除されるように変更しときました。
はいはい、わかりましたよ。
「解除。」
そう言葉を発してからステータスを確認するが(+)数値が消え、マップも敵の居場所のマーカーが一切なくなった。
さっきまで壁があった場所に手をかざすがしっかりと腕を伸ばせ森の外に出れる。
とりあえず街に行って冒険者になりクエストを受けお金を稼ぐ方針で行こう。
と思い進もうと思うがすぐに街は見つかった。
そう、目の前には巨大なコンクリで囲まれた建物があったからだ。
昨日は暗かったからか気づかなかったし、色々とあって動揺して気づかなかったのだろう。
まぁ。いい。とりあえず金稼ぎ。金稼ぎ。
ちょうど門も見え誰も並んでいなかったのでそのまま進み門番に止められた。
「身分証の提示。」
「身分証?」
「無くしたんだな。それなら銅貨3枚で仮の身分証を作ってやる。3日以内にギルドで身分証でも作ってもらうんだな。」
そういいながら後ろのドアを叩き身分証の準備などと言っているが俺は金を持っていない。
「あの、お金が無いんですけど……。」
心細い声で言うが、「あん?」 と言う大きな声で萎縮してしまう。
「聞こえなかったからもう1回言ってくれねぇか。」
「お金が無いのですが……。」
「金がねぇ? 話にならねぇな。魔物でも狩ってくりゃあ安いが換金するルールになってる。それでしのぎな。おい。準備は必要ねぇ。文無しだとよ。」
ドアを開け文無しを告げた門番はしっしという手つきで俺を追い払い俺はそのまま森へと帰るのであった。
俺の居場所は暖かい人々が暮らす街ではなく魔物がいる森なのかもしれない。
森に帰った俺はもちろんあのスキルを発動させる。
「自宅警備員。」
そしてマップを見て自分が通った道はモザイクではなくしっかりと表示されるので街に行きたい時にいつでも行ける。
それにさっき気づいたが、マップをアップにすると魔物のマークが1つとか2つとか魔物が何体いるかまでわかる。ゴブリンは怖いが生きていくには倒さないといけない。
それにお腹もすごい空いてこのままだと餓死しそうだしね。お腹すいたって考えると急に喉もかわいてきた。
森の中で果物でも見つけないと。
ピロン!!
?
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さすがに見殺しにしてはいけませんので水魔法が使えるようにしました。水魔法と言っても魔力に総じて強くなりますのでご注意を。魔力が0になれば倦怠感に襲われるのでそこも注意してくださいね。
ピロン!!
14件目。
大量にメールを送った時にお金も一緒に送っているのを忘れていました。そちらを使えば街に入れると思うので24時間後そちらを使って入ってください。
「ふざけるな!!」
大声で叫んだ後水魔法で水を出し喉を潤しながら魔物と遭遇しないようにただ身を隠したのであった。
そしてまた寝ることなく24時間経過し街の門に到着……。
「おっおう。大丈夫か?そんな酷い顔で。」
「大丈夫です。とりあえずお金ポケットに入ってたみたいなのでこれを……。」
「盗んだわけじゃねぇんだよな?」
「はい……。」
「待ってろ。おい、身分証頼む!!」
ドアを開けそう告げると新たな門番が出てきて謎のカードをスっと渡しすぐに扉を閉ざした。
「これが仮の身分証な。さっさと作れよ。お前の格好的に冒険者ギルドか……。右に進めばでかい建物があるからそこに行きな。」
少し引き気味な顔で告られ感謝の気持ちを言った後俺は冒険者ギルドに向かって歩き出した。
アニメやラノベではこれが街並みか!! なんて言っているが俺にはそんな余裕は無く何も思わないままギルドにつく。
そこにはごつい冒険者がこっちを見て睨み散らかしたり、魔法の杖みたいなものを持っている方々がいるが俺はそのまま受付嬢がいるところまで行く。
「ほっ本日はどうされましたか?」
「身分証を……。」
俺はその場で意識を失った。
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