第9話 独白
私はここ最近の行動を振り返ってみる。
松城くんが稀歌に近寄ってきたときから、ずっとムカムカしていた。だって彼、中学の時は女
最初からゴールは決めていた。だから布石を打っておいたのだ。告白は手紙がいいと。
あとは稀歌を詰ったあの馬鹿女ども。稀歌くらい可愛い子がたくさんいるって? 低脳にも程がある。なのに稀歌は自己評価が低いから自分よりもあの馬鹿女達の方が可愛いなんて落ち込んでしまった。そんなことないとわからせてあげるために、馬鹿女どもの顔を醜い傷物にしてやった。
ああ、そういえば稀歌が松城くんに手作り弁当を作るって意気込んだ時があったっけ。彼に稀歌お手製の美味しいお弁当なんて勿体無いから手伝うふりして私の血をたっぷり混ぜ込んでおいた。血は呪いだ。
その後、トイレ前で松城くんから声をかけられるように仕向けて、スマホがないふりをして彼のを借りた。あの時に急いでメッセージアプリの履歴を漁ったのだ。おかげで自作自演の共犯者を特定することができた。
スマホと学生証が入った袋が玄関の前にかかっていたなんてのも真っ赤な嘘だ。私がアイツらをボコボコにして奪ってやったのだから。
あとは松城くんの遺書。あれには、本当はもう少し続きがあるのだ。まあ私しか知らないけど。だって最後の 三行は、バレないよう綺麗に切り取って私が握っているのだから。
ちなみにこんな文章だった。
そうして生まれ変わって、君に相応しい男になりたい。
その時は俺と付き合って欲しい。
君のことが、七海その子のことが大好きだ。
松城和希より
その子を好きになってはいけない 夜方宵@MF文庫J/講ラ文庫で書籍発売中 @yakatayoi
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