エピローグ 未来への光

数年後、紗希と颯真は大学の図書館で再び出会った。

あの日の雪の日と同じように、窓の外には柔らかな光が差し込み、心地よい静けさが図書館を包む。


「久しぶりだね、紗希」

颯真の声に、紗希は微笑みを返す。

「うん、久しぶり……元気だった?」


「もちろん。紗希も?」

「ええ、毎日忙しいけど、充実してるよ」


二人は隣の席に腰を下ろし、互いの近況を話す。過去の記憶、時間を越えた冒険、未来への不安――すべてが静かに笑い声と共に流れていく。


紗希はふと手元に置かれた古い本に目をやる。

「この本……不思議だね。過去も未来も教えてくれた」


颯真が手を取り、軽く握る。

「そうだな。でも、最後に決めたのは君自身だ。勇気を出した紗希が、未来を作ったんだ」


紗希の頬に、温かい感情が広がる。

「ありがとう……颯真。あなたがいたから、私は逃げずにいられた」


颯真は微笑みながら目を細める。

「僕もだよ。紗希と一緒なら、どんな未来でも怖くない」


外の光が二人を包み、時間は静かに流れる。

紗希は胸の奥で、過去と未来がつながった瞬間を思い返す。

どんな困難も、恐れも、迷いも――すべては二人で乗り越えられる。


「ねぇ、颯真……これからも、ずっと一緒だよね?」

「もちろん。未来も過去も、君と僕なら大丈夫」


窓の外の光が雪の結晶のように輝き、二人の手が重なる。

紗希の心に、確かな希望と愛が満ちていく――時間を越えた恋の結末として。


そして、紗希は小さく呟いた。

「時をかけた先でも、恋は変わらない……やっぱり、颯真が一番大切」


颯真は優しく笑い、頷いた。

「僕もだよ、紗希。ずっと一緒に歩こう」


二人の未来は、光に満ちている。過去と未来をつなぐ糸のように、静かで確かな愛が二人を包み込み、永遠へと続いていった――時をかける恋人たちの物語は、ここで静かに幕を閉じる。

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時をかける恋人 春馬 @haruma888340

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