第4章 雨上がりの誤解
ある日の放課後、バス停に向かう悠真の足取りは、いつもより重かった。昨日の学校での出来事が頭をよぎる。数学のグループ課題で、凛が他の男子と楽しそうに話している姿を見て、思わず胸がざわついたのだ。
「……大したことじゃないのに、なんでこんなに気になるんだろう」
自分でも答えがわからず、足早にバス停に向かう。
凛はすでに到着しており、空は少し雲が残っていたが雨は止んでいた。凛は悠真に気づくと、手を振った。
「悠真くん、おはよう!」
「おはよう……」
返事は少しぎこちなく、凛はその表情に気づいた。
「どうしたの?顔がちょっと曇ってる」
悠真は咄嗟にごまかそうとした。
「別に……ちょっと考え事をしてただけ」
「ふーん……でも、気になるなら話してよ」
凛の真剣な目に、悠真は心を打たれる。しばらく沈黙が続いた後、ついに口を開いた。
「昨日、君が……他の男子と楽しそうにしてて……なんか、ちょっと嫉妬しちゃった」
凛は驚いた表情を浮かべるが、すぐに柔らかく笑った。
「そうだったんだ。ごめんね、気づかなかった。でも、私、悠真くんが一番大事だよ」
その言葉に、悠真の胸は安堵で満たされる。自然に笑みがこぼれた。
「本当に?それ聞いて安心した……」
「もちろんだよ。私たち、まだ始まったばかりなんだから」
雨上がりの空は、二人の心のもやもやを洗い流すように、淡い光で街を照らしていた。互いの手が触れるたびに、緊張と安心が混ざり合い、自然に笑顔が増えていく。
帰りのバスでは、二人で寄り添いながら今日の出来事を振り返った。
「やっぱり、正直に話してよかった」
「うん、私も……悠真くんの気持ち、ちゃんと聞けてよかった」
学校に戻る前、凛は小さな声でつぶやいた。
「これからも、いろんなことがあるだろうけど、ちゃんと一緒に向き合おうね」
「うん、一緒に頑張ろう」
小さなすれ違いが、二人の絆を逆に強めた瞬間だった。日常の中で生まれる不安や心配も、互いに正直に向き合うことで、確かな信頼に変わるのだと、悠真は実感した。
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