第2章 はじめての連絡

翌朝、悠真は目覚めると同時にスマートフォンを手に取った。昨日の雨の日の出来事が、まだ胸の奥で小さく弾んでいる。


「やっぱり、声かけてよかった……」


いつもなら制服を着て学校へ向かうだけの朝が、今日は少し特別に感じられた。玄関を出ると、弟の翔がにやりと笑いかけてきた。


「兄ちゃん、昨日のこと、うまくいったんだろ?」

「え、えっ……別に」

「バレバレだよ。昨日帰ってきたときの顔、完全に浮かれてた」


悠真は思わず顔を赤らめたが、翔の言葉に内心、少し安心もしていた。


学校が終わり、放課後。いつものバス停に向かうと、凛もすでに待っていた。昨日の雨で濡れた髪はすっかり乾き、制服も整っている。悠真は少し緊張しながら挨拶した。


「おはよう……じゃなくて、こんにちは」

「こんにちは」


少し沈黙が流れた後、悠真は勇気を振り絞った。


「もし……よかったらだけど、連絡先、交換しない?」


凛は少し驚いた顔を見せたが、指先でスマートフォンの画面を軽く触れながら、微笑む。


「いいよ、私も、そう思ってた」


スマートフォンを取り出し、二人は番号を交換する。指が触れそうな距離で画面を見つめる瞬間、悠真の心臓は飛び出しそうなほど早く打った。


「送ってもいい?」

「もちろん」


メッセージを送り合った後、画面の向こうで凛が笑ったことが想像できて、悠真の胸は温かくなる。バスが来るまでの間、二人は昨日の音楽の話や学校の些細な出来事で盛り上がり、自然に笑顔が増えていく。


帰宅後、悠真は自分の部屋で翔に報告した。


「……交換したよ」

翔は目を輝かせ、兄の肩を叩いた。

「やったじゃん!絶対うまくいくよ」

「うん、頑張る……」


一方、凛も親友の美咲に連絡を入れていた。


「悠真くんと……番号交換しちゃった」

「やっぱり!早く聞かせてよ、どうだった?」

「緊張したけど、すごく自然に話せた。なんか、これから楽しみって思えるんだ」


日常の中に少しずつ芽生えた特別な感情。まだ手探りの関係だけれど、互いに意識する心の揺れは確かに存在していた。


翌日、バス停で再会した二人は、笑顔で軽く会釈する。自然に始まった小さな会話が、これからの日々を少しずつ変えていく予感に満ちていた。

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